偉いひと考

もう今回の企画は初めての試みだし技術的にも不慣れだしで、どうしていいのかわからなくて途方に暮れた。

いつも、私はたいてい1人でお仕事しています。
会社という社会に所属していても、だいたい役割を与えられて放置されていて、時間も設備も自由に使ってアイデアを湧かせ、勝手に取引先に連絡をとり、利害を一致させ、利益を出します。

仕事でも私事でもあんまり人に頼ることはなくて、勝手に途方に暮れても勝手に解釈してどんどんすすんで行くのだけど、
今回はほんとに途方に暮れた。
制作物の品質が低いのじゃないか？
そもそも的外れなことしてないか？
ボリュームに欠けているんじゃないか？

で、
そういえば今回のクライアントは昔の私の同僚だったり上司だったりしたことを思い出す。
同時に、最近のプライベートで頼らないで1人で人生をやり遂げた人を見たことで、私は少しは人に頼ろう、と覚悟をしたことも。

それでクライアントにいくつかの成果を見せたらあっさり、かっこいいじゃんって言ってもらえて、
ね！報告とか相談ってほんとに良いものですね。

人とお仕事すると怖くてアイデア湧かなくなったり、スピード感が落ちるのが私はほんとに嫌だった。
でも途中で見せて、それから怖かったんだよってちゃんと言って良かった。

この元上司との相性はそういえばとてもよくて、やっぱりスピード感を共有できたしお仕事が楽しかった。
デザイナーの無理はばっさり切るし、予算が合えばその無理もきくし、
私のミスには優しさで取り繕わず冷酷にダメ出しするし、ミスを挽回させる最短の手段をさっさと決断して実行させる。
経験値はあんまり関係なくって咄嗟の気働きや閃きが利益になる人のことは買う。
昔も今回も、
「私ならそれできる」
っていきなり言い出した現場のことを何も知らない私に全部を委ねてくれて、そしてクオリティには厳しい。
まともな叱責なら学習に全振りしていちいち落ち込んだりしていたくない私には、とっても良かった。

今回はok出たあとも、イメージの補足になる大好きなMVとか色々送ってきてくれて、もともとの世界観の一致を再確認できて感心した。
わたしは誰かの上司になることはなくてまた1人の仕事に戻るけど。
でも久しぶりにこういう仕事ができてしあわせだった。

2023