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#ニーチェ

連載*バタイユとアナーキズム 第1回

連載*バタイユとアナーキズム 第1回

バタイユとはどういう人だったのか酒井健

1 生きることを不可能にするアナーキズム

 バタイユは、第2次世界大戦の末期、『ニーチェについて──好運への意志』(1945)の序文でアナーキズムを批判している。

 普通法(droit commun)とは、社会のなかで人間が生きることを可能にする法、つまり共同体の成員の生存権を保障する法のことである。バタイユは普通法それ自体を擁護したいのではない。まし

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