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📚読書メモ 神田ごくら町職人ばなし

こんにちは!今日は純粋に漫画のご紹介です。ビジネス書も読み歩きますが、漫画も結構手に取ります。この漫画を購入したのは早いもので一年前。。。あっという間に時間が過ぎ去っていて焦りますね。歳を重ねるとより早くなるなと実感しています。
では素敵な描写の続く一冊について、いきましょう!
江戸時代の職人たちの技と心意気を描いた坂上暁仁の『神田ごくら町職人ばなし』は、歴史的な背景とともに、職人たちの生き様を鮮やかに描き出す珠玉の作品です。このコミックは、桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官といった多様な職人たちの物語を通じて、江戸の町の息吹を感じさせてくれます。

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まず、桶職人のエピソードでは、木と向き合い、木と共に生きる職人の一日が描かれます。木材の選定から桶の完成までの過程を通じて、職人の技術と情熱が伝わってきます。木が生きているという感覚を持ち、それを尊重しながら仕事に取り組む姿勢は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

次に、刀鍛冶の物語では、自らが打った刀で子供が殺されたという過去を持つ刀匠の胸中が描かれます。灼熱の鍛冶場で黙々と作業を続ける彼の姿は、言葉少なに多くを語ります。刀鍛冶の技術だけでなく、その背後にある深い葛藤と苦悩が、読者の心に強く響きます。

紺屋のエピソードでは、友禅染が大流行する中で藍染の意匠に悩む職人の姿が描かれます。先の見えない仕事に心が沈む彼ですが、伝統を守りながら新しい価値を創造しようとする姿勢は、現代のクリエイターにも通じるものがあります。藍染の美しさとその奥深さが、丁寧な描写で伝えられています。

畳刺しの物語では、吉原の遊女たちの冷やかしを受けながらも、畳の張り替えに精を出す職人たちの姿が描かれます。彼らの仕事に対する誇りと、日々の生活の中での小さな喜びが、温かく描かれています。畳という身近な存在が、職人たちの手によってどのように作られているのか、その過程が興味深く描かれています。

最後に、左官のエピソードでは、土蔵の普請場に現れた奇妙な男、甚三郎の物語が描かれます。上方から流れてきた彼の技術と、その背後にある物語が、読者を引き込んでいきます。左官の技術の細やかさと、その仕事に対する情熱が、圧倒的なディテールで描かれています。

『神田ごくら町職人ばなし』は、ただの歴史漫画ではありません。職人たちの技術と心意気を通じて、江戸時代の文化や価値観を深く掘り下げています。坂上暁仁の筆致は、細部にまでこだわり抜かれており、読者を江戸の町へとタイムスリップさせます。職人たちの生き様を描くことで、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれるこの作品は、歴史や職人文化に興味がある方には必読の一冊です。
この作品を通じて、江戸時代の職人たちの技術と心意気に触れ、その魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。『神田ごくら町職人ばなし』は、職人たちの物語を通じて、私たちに大切なことを教えてくれる、そんな作品です。


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