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30代後半、 結婚生活のこと、 私生活のこと、 恋と人。

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最近の記事

誰か私に気づいて欲しい

歯が痛むのか、 歯茎にできた口内炎が痛むのか、 とにかく口の中が今朝は不機嫌で居心地が悪かった。 わたしのラッキーカラーのイエローのタイルを使った、 三軒茶屋駅に着くと、通り抜ける風に前髪が乱された。 この駅がわたしは好きだ。 18歳からの一年間、たった一年間住んだだけの三軒茶屋の街は、 わたしのキラキラした思い出がたくさん詰まっていた。 二十年経た今でも、 この駅に降りると 嫌な朝も疲れた夜もすべて詩的に無駄にならない時間に思えた。 演劇やミュージカルのポスターが

    • わたしは、玩具。

      彼のいる浴室に飛び込み、 彼が背を向けて入る浴槽の傍で、 わたしは手早くカラダを洗う。 彼の隣に静かに片足ずつ、 丁寧に、程よい湯の中へ。 彼はするっと手を肩に回し、 目にかかる前髪を払うように、 ごく自然に、 わたしにキスをしてきた。 声が、漏れた。 何万年ぶりかに感じられた、 艶かしいキスは、 わたしの心も体も解いて浴槽の中へ沈ませていく。 彼の指は、 普段話すよりも饒舌で、 浴槽の水にわたしの全てが溶けだしてしまいそうだった。 のぼせそうで、 わたしは先にほ

      • 思ってたんと、ちがう。

        彼は慣れた様にホテルのフロントにはいり、 「どこにしますか?」 と部屋の写真がずらりと芸術的に並んだパネルの前で、 そのパネルに顔を向けたまま尋ねてきた。 こういう時、 金額を気にするべきなのか、 雰囲気を気にするべきなのか、 あえて1番お高いところとか選ぶべきなのか、 わたしの頭の中は、 意外と冷静に稼働していた。 なんとなく2番目くらいに手頃な部屋が空いていたので、 そこを指さした。 フロントで彼が事前精算を済まし、 鍵を貰ってエレベーターに乗り込んだ。 な

        • わたしの体と心と車

          ピルもなれてきた頃、 「〇日の夜は、あいてますか?」 と、彼から連絡がきた。 「あいてます~♪」 と、まるで歌うような返事をした。 そして、 その日はあっという間に訪れた。 カジュアルなイタリアンレストランで わたしはワインを飲みながら、 彼はソフトドリンクを飲みながら、 生のたまねぎが彼は苦手なことや、 たわいもない話をして、 わたしはひとりで酔っ払った。 会計をし、 店を出て彼が車で送ってくれると申し出てくれた。 駐車場までの道を歩きながら、 彼が、

        誰か私に気づいて欲しい

          ピルはオンラインで。

          あれから数回LINEでのメッセージをやりとりし、 彼はあくまで、 わたしと旦那とのレス解消ができたら1番いいね。 と至極真っ当なアドバイスをしてくれた。 でも、 「僕も、男なんで。したくない訳じゃないですよ。」 と気を使ってくれたのか、なんなのか、 わたしにはもういつものコミュ力は80パーセント減で、本心とか、その言葉の裏にある“なにか”とか、 あるのかないのかわからないものを、 一生懸命に探していた。 わたしは、 なんとなく、 必要に、なるかも。 と、 オンラ

          ピルはオンラインで。

          昼の公園 夜の幻 2

          彼が見えた。 100メートル先に。 彼は私を見つけたあとも、 歩幅もテンポも変えず、 涼しい顔でわたしにいつものように、 「お疲れ様ですー。」 と声をかけた。 お店のメニューを開き、 「僕車なんで。」 と2人で烏龍茶を頼み、 いくつか適当に料理も注文した。 当たり障りのない仕事の話をひと通りして、 なんとなく、お互いの家族の話や、身の上話を軽くして、 1時間半ほどして、会計した。 お店を出たあと、 「少しお散歩しましょう。」 と、近くの公園に向かった。 い

          昼の公園 夜の幻 2

          昼間の公園 夜の幻

          彼と飲みに行く約束は、 初めて声をかけてもらってから、 すぐ決まったのだった。 「誰を誘いますか?」 とLINEで尋ねられた時は、 (なんだ。。わたしと2人きりでという話じゃなかったんだ。。) と、ガッカリしたような、安心したような 気持ちになった。 しかし、結局誘ったもうひとりは都合がつかず、 わたしから 「わたしと2人だと、気まずいでしょうか?」 と、LINEを送った。 彼は、 「構わないですよ! ただお酒は飲まないようにします。 えっちになっちゃ

          昼間の公園 夜の幻

          ネジ が外れた日。

          結婚7年が過ぎ、 念願のマイホームも決まり、 パートタイムの仕事も、 楽しく充実していた。 家庭の外での生活が楽しく、 自由でいられる、 わたしが、母でもなく、 主婦でもなく、 わたしでいられる時間だった。 職場は、 わたしにとってオアシスのように、 新鮮な空気を思い切り吸い込むような、 身体中に、 綺麗な水が満たされるような、 とにかく 仕事が楽しくて仕方がなかった。 同じ職場の違う部署にいた彼は、 わたしの1つ年下で、 あまり話さない人だった。 わたしも何一つ、意

          ネジ が外れた日。

          私になにが、残せるのか。

          40歳手前の主婦。 わたしはどこにでもいる、 働きながら、子育てをする、 普通の主婦である。 特にこれと言って自慢できるような仕事も、 目立つような容姿を持っているわけでもない、 普通の、主婦である。 そんなわたしが、 noteに何を綴れるというのか。 でもわたしには、 誰かに聞いて欲しい、 読んで欲しい想いが、 確かにあった。 普通の生活を送っているように、 職場の仲間や、 電車で隣り合わせた人には、 映るのだろう。 どこにでもあるような、 でもきっと、みんな

          私になにが、残せるのか。