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昼間の公園 夜の幻

彼と飲みに行く約束は、

初めて声をかけてもらってから、
すぐ決まったのだった。

「誰を誘いますか?」

とLINEで尋ねられた時は、

(なんだ。。わたしと2人きりでという話じゃなかったんだ。。)

と、ガッカリしたような、安心したような
気持ちになった。

しかし、結局誘ったもうひとりは都合がつかず、

わたしから

「わたしと2人だと、気まずいでしょうか?」

と、LINEを送った。

彼は、

「構わないですよ!
ただお酒は飲まないようにします。
えっちになっちゃうので笑」

と返信してきた。

わたしは、からかわれているのか、
試されているのか、
わからなかった。

所帯持ちが、
2人きりでお酒を飲みに行くと言うことは、
やっぱり、
そーゆーことなのかな。

と、心臓がドキドキした。


息子のサッカー教室の待合でそんなLINEを受け取り、
少しづつ心が、ふわふわと、
ネジをゆるめていくのを、感じた。

わたしは、

彼とどういう展開を望んでいるのだろう。

まだ、
わたしの中の、誠実さや理性や倫理が、
暴走しそうになる考えを

かき消していた。


彼と約束した日は、
間もなく訪れた。

わたしは、
朝から緊張して、
洗濯物を干す手が震えた。

お茶を飲むことも、
トーストを食べることも、
出来なかった。

緊張のあまり、
お腹を下してしまい、
薬を飲んだ。

そして、
彼と待ち合わせをした居酒屋さんにかなり早めに着いた。
何度も鏡でメイクや髪型を確認した。

ドキドキが収まらず、
InstagramやYahooニュースを
ひたすらスクロールし続けた。

彼からLINEが入り、

「今会社をでます。」

会社からは車で5分ほどの距離だった。

心臓が飛び出そうになり、
わたしもお店を出て、
彼が来るのを寒空の中、
ピンクのブラウス1枚で待った。

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