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共通テストにみる,これからの子どもに必要な力

 昨日,大学入学共通テストの第一日程が終わりました。新聞やネット上には早速いろいろな記事が賑わっています。僕たちのオンライン教室では,小中学生がメインですが,彼も何年かすれば受けるであろうテストです。動向に目が離せません。

 そこで今日は,それら巷の情報も踏まえながら「共通テストにみる,これからの受験に必要な力」について考えます。

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なぜ「共通テスト」なのか

 そもそも,センター試験から共通テストへの移行は,「高大接続改革」という文部科学省が進める教育制度改革の一つの柱として行われました。文部科学省ウェブサイトには「変化の激しい時代において、新たな価値を創造していく力を育成するため」とあり,これからの時代は自分自身で問いを見つけ,仲間と協力し解決する能力を育てることが大切だということなのでしょう。いずれにせよ,これから受験環境も,どんどんと変わっていくことが予想されます。

共通テストに見る「文章力]

 共通テストへの移行について,当初,記述式問題と英語民間試験のニュースが様々な議論を起こしていました。そのどちらも見送られたわけですが,実際の共通テストでは,全般的に文章題が多いなという印象を受けました。英語は全問読解問題となり,数学では日常を題材とする(100m走のタイムからストライド・ピッチを求める)問題が出されたことからも,今までとはだいぶ雰囲気が変わった試験だったと思います。

 新聞には,記述でなくても時間が足りないという記事を見るなど,なかなか戸惑った受験生もいたようでしたが,記述式ではないにせよ,文章をどれだけの速さで読み,理解するかが非常に大きなポイントになるんだと思いました。


「文章力」はいいことづくし!

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 記述式でもマーク式でも,ともに大切なのは文章力です。国語と似ていますが,教科としての国語はしっかりとした解法があります。対して文章力は,もう少し総合的な能力だと考えています。言い方を変えると,言葉を大切にして,相手の伝えたいことに耳を傾け,自分の伝えたいことを丁寧に伝える力です。
 相手がなぜその言葉を使ったのか,なぜその言い回しなのか,文脈はどうか,文化はどうか…言葉に注目すると色々なことが見えてきます。文章力はまさに人間関係の第一歩なのです。

 文章力を鍛えると,色々といいことがあります。上記の人間関係もそうですが,外国語の習得についても,母国語の文章力がしっかりしていると非常に有利に働きます。僕は日本語教師として,たくさんの外国人学生をみてきましたが,不思議とどの国の学生であっても,それぞれの母語をしっかりと勉強している学生は,そうでない学生に比べて日本語の読み書きに差が出るものでした。言語は違えども,根本的な理解力と発信力は共通なのだと思います。


テストは通過点。大切なのはその先。

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  共通テストについては,今後分析されて様々な解法が生まれると思います。それを利用するのは大いに結構なのですが,それだけではその先で厳しい思いをするでしょう。これからは多様性の時代です。文化や文脈が違う個性あふれる時代です。しっかりと耳を傾け,しっかりとした言葉で,コミュニケーションを取る練習をしていかなければならないと思うのです。 単なる受験対策でなく,「生きるための力」としての文章力。子供に関わる方はぜひ意識されることをおすすめいたします。

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