横浜流星のクソメンヘラDV彼氏役が彼の新境地なんじゃないかと思った『流浪の月』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:20/70
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆
【ジャンル】
ヒューマンドラマ
サスペンス
【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
凪良ゆう『流浪の月』(2019)
【あらすじ】
家に帰れない事情を抱えた少女・更紗(白鳥玉季/広瀬すず)と、彼女を自宅に招き入れた孤独な大学生・文(松坂桃李)。居場所を見つけた幸せを噛みしめたその夏の終わり、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となった。
15年後。偶然の再会を遂げたふたり。それぞれの隣には現在の恋人、亮(横浜流星)と谷(多部未華子)がいたのだが…。
【感想】
原作は未読なんですけど、映画だけでも十分楽しめました!キャラクターというより演じたキャストの演技ががすごくよかったので。
<ストーリーはとても心苦しい内容>
話としては、ロリコンの文が世間に誤解されて非難を浴びまくるという悲しいものです。自分の性的嗜好がまわりに理解されない孤独と、内面に抱える問題に苦悩しながら、ひっそりと生きていく文の姿が物悲しいですね。文が世間とズレている、というと彼が一方的に悪いように捉えられてしまいますが、見方を変えれば世間が偏見に満ちていて、マイノリティに対して抱く感情が不当にマイナスすぎると言えるかもしれません。確かにロリコンっていう言葉だけ聞くと、いい歳した成人男性が女児に性的興味を抱いて、、、というネガティブなイメージを持ちやすいですが、中には本当に大人の女性に興味を持てず、とはいえそんなことをおおっぴらにもできず、居場所がない辛さを感じている人もいるかもしれないんですよね。この映画でも、そんな文の生きづらさが全面に出ていたのが印象深いところでした。
<一番の推しポイントは横浜流星>
でも、個人的に推したいのはそこじゃないんですよ。面白い映画という定義は人によって様々だと思いますが、僕の中では「何かひとつ振り切った要素がある」ことだと思っています。設定だったり、映像だったり、キャラクターだったり、何でもいいんですけど。
今回で言えば、文を演じた松坂桃李よりも、更紗の恋人である亮役を演じた横浜流星の怪演がまさにそれだったんですよ。あのメンヘラ、モラハラ、DVという三拍子そろったクソっぷりが衝撃的で、、、!過去には戦隊ヒーローだったり、ピンク髪のゆりゆりだったり、何かと応援したくなる役柄のイメージが強いんですけど、今回ばかりはその真逆。「こんな横浜流星見たことない!」ってぐらいの胸糞悪さでして、いやー、彼だけでこの映画推せますね。
もちろん、他のキャストの演技も素晴らしいです。広瀬すずもけっこう体当たりな演技をしていますし、多部未華子の表情もよかったんですけど、やっぱりここは横浜流星だなと。
<映画だけだと気になるところ>
ただ、映画を観ているだけだとわからない部分もありました。上記で書いた亮の異常性について、なぜああなってしまったのか、とか。映画の最後で文が見せたあれは何なのか、それとロリコンは関係あるのか、とか。小説を読めばわかるのかもしれませんが、映画だけだとヒントもないので気になりました。
<そんなわけで>
正直、尺はちょいと長いなと感じるんですが、横浜流星の迫真の演技が見どころすぎるので、ぜひ劇場へ足を運んでもらいたいなと思える作品でした。
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