見出し画像

『トップガン』と『アポロ13』を掛け合わせたような興奮と壮大さがあった『ライトスタッフ』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:1/8👑
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:The Right Stuff
  製作年:1983年
  製作国:アメリカ
   配給:ワーナー・ブラザース
 上映時間:193分
 ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:ドキュメンタリー小説『ザ・ライト・スタッフ』(1979)

【あらすじ】

1947年、モハベ砂漠にあるエドワーズ空軍基地。テストパイロットのチャック・イェーガー(サム・シェパード)は、ロケット機のテスト飛行に臨み、遂に音速の壁を破った。その後、テストパイロットたちが続々と集まり、記録も更新されていくが、墜落事故が止むことがなかった。

その頃、ソ連は世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げを成功させる。宇宙開発に遅れを取った米政府は、軍の精鋭パイロットたちから宇宙飛行士の候補者を募る―。

【感想】

これメチャクチャ面白いですね!3時間以上あるので観る前はけっこう身構えていたんですが、その長さを感じさせないほどの面白さがありました!

<『トップガン』(1986)のような前半>

題材となっているのは、アメリカ初の有人宇宙飛行計画である「マーキュリー計画」です。1957年に旧ソ連が人工衛星のスプートニク1号を発射したことがアメリカに衝撃を与え、両国の宇宙開発競争が始まりました。もうね、アメリカのロシアへの対抗心がすごいんですよ。ロシアが何かするたびに「ウチも早くやれ!」だのなんだの。上の人だけが息巻いてる感じですが(笑)

そんな状況になる10年前が本作の始まりです。名も無きテストパイロットだったイェーガーは、マッハ1の壁を破るために心血を注いでいました。『トップガン マーヴェリック』ではマッハ10を出していましたが、今から75年前の世界では、その10分の1の速さを超えるか超えられないかだったんだなあという感慨深さがありますね。速さの限界を極めんとする男のエピソードには『トップガン』みたいなスリルと興奮があって面白かったです。

<『アポロ13』(1995)のような後半>

で、時は流れて有人宇宙飛行の話になります。まずは参加する宇宙飛行士を探すことになるんですが、当時は軍のテストパイロットから宇宙飛行士を選抜してたそうなんです。未知の状況への対処や状況を説明する能力を高める訓練をしていたってことで。それらが宇宙飛行士に必要であろうと考えてのことでしょうね。ちなみに、そのリクルーター役を若かりし頃のジェフ・ゴールドブラムがやってるってのも注目です(役名すらありませんでした)。

そこでイェーガーは選抜されません。理由は大卒じゃないから。時の大統領アイゼンハワーは宇宙飛行士にいろんな条件をつけてまして。乗り込むカプセルの大きさの関係から身長180cm以下とか、民間人はダメとか、学位を持っているとか。そのため、イェーガーは選考対象から外されてしまったんです。

そこからイェーガーの出番はなくなって、選ばれた7人の宇宙飛行士"マーキュリー・セブン"の話になります。この段階ではアポロ計画のように長期間宇宙に滞在することはないので、宇宙のシーンは多くなく、登場人物たちの人間ドラマにスポットライトが当たっていますが、これが面白いんです。命令に従順であることが求められるも、彼らは彼らで誇りを持っています。「俺らはモルモット(実験台)じゃねぇと」。そこがこの7人のかっこいいところですね。

<憧れたくなるかっこいいキャラクター像>

"マーキュリー・セブン"の中では、エド・ハリス演じるジョン・グレンが一番かっこよかったです。宇宙飛行士への取材で自宅にもマスコミが押し掛ける日々。吃音持ちの妻へはマスコミだけじゃなくて、副大統領も会いたいと言うほど。でも、妻は会いたくないと拒否。副大統領はこのマーキュリー計画の親玉。本来なら、ジョン・グレンは妻を説得しなくちゃいけない立場ですけど、「会いたくないなら会わなくていい。俺が必ず守ってやるから!」と。強く言ってのけるんです。震えました。こういう夫でありたいものです。

そして、選抜から漏れたイェーガーもかっこいいんですよ。もともと彼も国のモルモットになる気はないって言ってましたけど、彼は彼で旧ソ連が持っていた高度記録に挑むため、ひとり最新の戦闘機に乗って記録に挑戦します。誰から頼まれるでもなく、自分でやりたいからやってるんですが、常に自分との勝負に出る姿はグッときますね。彼の妻も、「空に夢を賭ける男は魅力的。思い出話に浸るだけの男には我慢できない」と夫を誇りに思っているところが素敵だなって感じました。

<そんなわけで>

実話をベースにした現実路線のヒューマンドラマでとてもオススメしたいです。一部事実と異なる部分もあるようですが、そんなの関係ありません。家族を大切にし、夢を追いかける男たちの姿は多くの人に観ていただきたいと思いました。速さと高度に挑戦するイェーガーは『トップガン』っぽさがあり、マーキュリー・セブンの活躍はアポロ13っぽさがあって、その2作品のいい要素を持った作品だなって思いました。まあ、その2作品は本作の後に作られているんですが(笑)


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?