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何台車があっても足りないぐらい次々廃車になっていくマイケル・ベイ節炸裂の『アンビュランス』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:26/48
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】

アクション
カーチェイス

【原作・過去作、元になった出来事】

・映画
 『アンビュランス』(2005)

【あらすじ】

アメリカ、ロサンゼルス。ウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は、妻の手術のために23万1,000ドルが必要となる。

その費用を借りるため、ウィルは養子縁組の兄弟であり、犯罪者のダニー(ジェイク・ギレンホール)に連絡を取る。そこでダニーは3,200万ドルの銀行強盗に参加することを依頼。犯罪に手を貸すことに躊躇するウィルだったが、背に腹は代えられず、渋々承諾。

しかし、強盗に参加するも失敗に終わり、あろうことか彼らは逃走用に救急車を奪い、人質として救急救命士と瀕死の警察官を乗せて逃走することに…。

【感想】

正直、ツッコミどころはありまくりなんですが、さすがハリウッドの"破壊王"の異名を持つマイケル・ベイ監督ですよ。見せ方がうまいです。圧倒的な破壊映像で乗り切ってるのが相変わらずすごいなって(笑)ちなみに、本作は2005年の『25ミニッツ』というデンマーク映画のリメイクとのことですが、オリジナル版の作品は見つけられなかったんですよね。日本では劇場公開せず、ソフト化もされていないのでしょうか。

<王道の中にあるちょっと変わった設定>

この映画、設定はなかなか面白いんですよ。銀行強盗からの逃走ってのはよくある話です。ただ、逃走車が救急車で、そこには救急救命士とウィルが撃って瀕死の警察官が乗ってるっていう。自分が撃った警察官と同乗するって、なかなか気まずいと思いますけどね。ウィルはもともと善人ですから。さっさと近くの病院にポーンと降ろしちゃえばよかったのではと思いつつ、捕まるわけにはいかないので、病院には行こうにも行けず、何時間も逃走劇が続きます。

救急車内でやれる範囲内での治療を行うんですけど、けっこうな無理ゲーですよね(笑)だって、逃げてるから車のスピードも速く、車内メッチャ揺れるんですよ。そんな安定しない状態の中で、AEDによる心肺蘇生や、ウィルからの輸血など、その場しのぎの治療しかできません。なのに、最後の方では警察官がちょっと元気になってて、ちょっと笑っちゃいました(笑)普通だったら死んでると思いますけどね。。。

<ゴミのように廃車になっていく車たち>

マイケル・ベイ監督と言えば、スピード感溢れる展開や大興奮のド派手アクションがウリですよね。『ザ・ロック』(1996)や『アルマゲドン』(1998)、『パールハーバー』(2001)といった単品作品から、『バッドボーイズ』シリーズや『ミュータント・タートルズ』シリーズ、『トランスフォーマー』シリーズなども手掛けています。個人的には、どんな監督でも当たり外れはあるので、特定の監督のファンってことはないんですけど、マイケル・ベイ監督のアクションだけはどれも本当に大好きで。この映画でもそれは如何なく発揮されていましたね。

ウィルの常識離れしたハンドルさばきで逃げ惑う救急車に翻弄され、激突したり横転したりで次々とスクラップになっていくパトカーたち。「普通に追いかけるだけでそんなんなる?!」って言いたくなりますけど、面白いほどにぶっ壊れていくシーンはスカッとします。さらに、今回はドローンでの空撮も多用されていて、特に高いところからの急転直下のカメラワークは迫力ありました。これはもう邦画では絶対に観られない、ハリウッドならではのアクションですよ。

<どうやったらかっこよく映るかがわかってる撮り方>

本作の主人公はウィルとダニーの2人で、救命救急士のキャム(エイザ・ゴンザレス)は準主役みたいな立ち位置だと僕は思います。なのに、ラストで胸を張って歩くキャムの姿、完全に主役でしたね。スローモーションにして
「これまでのトラブル、全部あたしが片を付けました」と言わんばかりのドヤ感。「あれ、この人が主役だったっけ?」って思わせる見せ方がうまいんですよ(笑)そもそも、この映画自体ハイスピードアクションなので、ちょっとスローモーションを入れるだけで、ものすごく目立つんですよ。その緩急のバランスが秀逸です。

<クライマックスが長すぎる>

総じて楽しめる映画なんですけど、ひとつ難点を上げるとするならば、それはクライマックスの長さです。開始後30分経ったところから逃走劇が始まるんですが、それが残り90分近くも続くんですよ。もうどこがクライマックスかわからなくて。さすがに大迫力のカーチェイスも、そこまで続くとだれてきます。だから、途中ちょっと飽きちゃった部分はあります(笑)何でもかんでも長くやればいいってもんじゃないなってのは強く感じたところですね。

<そんなわけで>

そういうツッコミどころはあるものの、それをカバーするぐらいのド派手な映像はやっぱり圧巻ですよ。こういう作品は映画館で観てこそだよなって感じます。全体の7割がカーチェイスなので、ストーリー性やキャラクター背景といった部分はだいぶあっさり目ですけど、迫力あるアクションを観たいならオススメします~。


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