見出し画像

制作に30年かかってるのにあまりにも奇抜すぎて観る人を選びまくる超絶グロテスクなダークファンタジー『マッドゴッド』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:190/190
  ストーリー:★☆☆☆☆
 キャラクター:★☆☆☆☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★☆☆☆☆

【作品情報】

   原題:Mad God
  製作年:2021年
  製作国:アメリカ
   配給:ロングライド
 上映時間:84分
 ジャンル:ストップモーション・アニメーション、ダークファンタジー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

人類最後の男(アレックス・コックス)に派遣され、地下深くの荒廃した暗黒世界に降りて行った孤高のアサシンは、無残な化け物たちの巣窟と化したこの世の終わりを目撃する。

【感想】

これは、、、なんて言ったらいいんでしょうね。。。今年公開の映画の中で一番僕には理解できない内容でした(笑)

<制作にかかった年数、実に30年!>

監督のフィル・ティペットは有名なストップモーション・アニメーターだそうです。『スター・ウォーズ』シリーズや『ロボコップ』シリーズで活躍したそうで。この映画は1990年から作られていたようですが、時代がCGに移行したことで一旦ストップ。このたび、ティペット・スタジオの若きクリエイターたちが当時の人形やセットを発見し、彼らの熱望により企画が再始動したらしいです。

<一般ウケしなさそうな内容>

この映画、確かに世界観は驚異的でしたよ。あのダークでグロテスクな世界をよく手作りで構築したなと。これは好きな人は本当に好きだともいます。ただ、本編ではセリフやテロップが一切ないので、ここが何をする場所で、今何をしているのかはよくわかりません。

そして、とてつもなく画が汚いんです。センスがないという意味ではなく、単純に汚物的な意味で。。。日本の漫画『彼岸島』(2002)のグロい部分だけを抽出したといえばイメージしやすいでしょうか。出てくるクリーチャーもこれまたゲテモノ揃いで。シー・イットと呼ばれる巨大なクリーチャーは出刃包丁を振り回して、獲物をグチャグチャに切り刻んだり。大量生産されるシットマンという労働者は、せっかく作られるのにすぐ死んだり。列車やローラーに轢かれ、業火に焼かれ、作る意味も死ぬ意味もないほどに、無駄遣いされまくっているんですよね。また、電気椅子に繋がれた巨人?は糞尿を垂れ流し、それを栄養にしている生き物がいたりと、とにかくグロの極みのような世界です。この世の終わりとはまさにこういうことなんじゃないかと。。。なぜこんな世界があるのか、人類はどうなったのか、それすらも謎のまま。主人公のアサシンが地下に潜る目的も不明のままです。

<"考えるな、感じろ"の世界>

もはや、ストーリーやキャラクターを楽しむのではなく、著名なストップモーション・アニメーターが作り上げた世界を堪能するに尽きる作品なのかなと思います。あれこれ考えたらおしまいで、今目の前に広がる光景を心で感じろっていうことですね。なお、熱狂的なファンが多いようで、席も満席、パンフレットも売り切れという盛況っぷりでした。

ちなみに、同じく地下に広がるダークな世界をストップモーション・アニメーションで表現した『JUNK HEAD』(2021)っていう映画を昨年観たんですけど、あっちの方がまだ推せますね。キャラクターもかわいいし、ストーリー性もあるので。映画としては本作よりも楽しめるとは思いました。

<そんなわけで>

タイトルにも書きましたが、これはかなり観る人を選びます。この監督のファンだったり、特撮が好きだったり、ダークな世界観が好きだったりするならハマるかもしれません。僕自身もそれらは好きなんですけど、ちゃんとしたストーリーがあることが前提なので、これは少し違いましたね(笑)もちろん、つまらないっていうことではないです。単純に理解が追いつかなかっただけで。そういう意味では、先に観た『MEN 同じ顔の男たち』(2022)と近いかもしれません。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?