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我が子が生まれつき炎を操る体に生まれてしまったら親としてどう接するかを考えさせられる『炎の少女チャーリー』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:75/90
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】

スリラー
ホラー

【元になった出来事や原作・過去作など】

・小説
 スティーヴン・キング『ファイアスターター』(1980)

・映画
 『炎の少女チャーリー』(1984)

【あらすじ】

アンディ(ザック・エフロン)とヴィッキー(シドニー・レモン)には、生まれながらに不思議な能力を持つチャーリー(ライアン・キーラ・アームストロング)という娘がいた。

彼女が成長するにつれ、その能力は覚醒し始め、多感な10代を迎えるころには、感情の揺らぎに呼応するようにチャーリー自身もコントロールできないパワーへと変化していた。

父親アンディはその能力を懸命に隠し続けようとしたが、政府の秘密の組織"ザ・ショップ"はついにチャーリーの存在に気づき、軍事利用しようとスパイを差し向ける。

逃亡する親子と追跡する工作員。かくして、チャーリーの特殊能力と秘密組織の壮絶なバトルが繰り広げられるのだった――。

【感想】

タイトルのB級感に誘われて鑑賞。実はけっこうちゃんとした映画なんですよね。調べてみると、原作はあのスティーヴン・キングの小説で、1984年にドリュー・バリモア主演で映画化されていると(しかも、当時全米で初登場第1位だったらしい)。1984年版の映画も観たかったんですけどねー、今は配信がなく、近くのTSUTAYAでもレンタルがなかったので観れずでして。。。

<ジャンルとしてはスリラーだけど怖さはない>

この映画の内容をざっくり言ってしまうと、生まれつきパイロキネシスの能力を持った少女チャーリーと父親による、追いかけてくる秘密組織からの逃避行ですね。ジャンルがけっこう難しくて。日本版ポスターだと、"スリラー"って書いちゃってますけど、別のところではホラーってなってます。とはいえ、それらの要素はほとんどないんですけどね(笑)強いて言うなら、音楽が『ハロウィン』シリーズのジョン・カーペンターで、テーマ曲が『ハロウィン』と似てるため、ある意味そこが一番怖いかもしれません(笑)あと、焼死体がちょっとエグいので、そういうのが苦手な人は注意が必要です。ちなみに、パイロは英語で「火」を表し、キネシスは「運動」の意味を持つので、パイロキネシスとは火を操るみたいな意味です。

<実は親子関係が一番ポイントな作品>

お話のメインとしては「少女が炎をぶっ放しまくる」だけなので、その側面だけだと大して面白くはないです(笑)ただ、印象に残るのは炎を操る力よりも、チャーリーと両親の関係についてちゃんと描いてるところかなって僕は思いました。生まれつき不思議な力を持つ子供に対して、親としてどう接するべきなのか。父親はとにかく能力を隠すことで娘を守ろうとしますが、母親は訓練することで力を制御する力を身につけさせようとするんです。考え方は対照的ですが、いずれも我が子を想ってのこと。個人的には、隠してたっていずれバレるのだから、コントロールできるようにする母親の意見に賛成でしたけど。

これって現実世界でも当てはまることありますよね。自分の子供が何か抜きんでた能力やセンスがあるとき、どう育てていくかっていうのは頭を悩ます人もいるんじゃないでしょうか(いや、別に抜きんでた何かがなくても子育て自体いろいろ苦労が多いでしょうけど)。子供の個性を自由に伸ばしていくことを考える一方で、まわりとの関わり合いも踏まえる必要もありますし、特に日本の「みんなで手をつないで~」的な、出る杭は打たれやすい環境だと、余計に答えが出しにくい問題かもしれませんね。

まあ、炎を操れるとなると被害が甚大になる恐れがあるので、さすがに同じ次元では語れませんけど、本質的にはいっしょなのかなと感じました。

それだけに惜しかったんですよ、、、!親子関係にも焦点を当てているのはわかるのに、尺が短いがゆえにテンポがいい反面、その部分があっさりしちゃってて。アクションというか、そういうフィジカルな動きに少し尺を割きすぎた印象ですね。もう少し長くてもいいから、その親子関係のところをもっと観たかったです。

<そんなわけで>

パッと見はB級感否めませんけど、生まれつき不思議な力を持つ少女と親子の絆も感じられる、少し心が温まる内容だったのがよかったです。終盤のチャーリーは超サイヤ人感あるんで、アクション好きな人も楽しめますよ、きっと(笑)


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