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言葉にすることの尊さを知る『思い、思われ、ふり、ふられ』

【基本情報】

製作年:2020年
製作国:日本
⠀ 配給:東宝

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:61/105
⠀ ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

明るくて社交的な朱里(浜辺美波)。
内向的でうつむきがちな由奈(福本莉子)。
クールで物静かな理央(北村匠海)。
爽やかで誠実な和臣(赤楚衛二)。

彼ら4人は偶然にも同じマンションに住み、同じ高校に通う1年生。

親同士が再婚したことで姉弟となり、朱里に言えない恋心を抱える理央。
そんな理央に憧れるけど自分に自信が持てずに気持ちを伝えられない由奈。
和臣に惹かれていき、自分の感情に戸惑う朱里。
ある秘密を目撃してしまい、自分の気持ちを隠してしまう和臣。

一人の告白をきっかけにそれぞれの感情は複雑に絡み合い、
相手を思えば思うほどすれ違ってしまう。

4人の切なすぎる片想いの行方は。

【感想】

ストロボ・エッジ』、『アオハライド』の咲坂伊緒による"青春三部作"の最終章ということなんでね、この映画を観るために、世界観だけは事前に知っておこうと思って、これまで観ていなかった上記2作品を観ました。

で、本作なんですが、先の2作品と比べると一番面白かったです。

まずタイトルがすごいなって。そう思いません?だって、『思い、思われ、ふり、ふられ』って、もう全部そうじゃないですか、恋愛って。この世にあるあらゆる恋愛映画をすべて内包するかのようなタイトルですよね。スケールが大きい(笑)

肝心の中身ですが、想いが交錯しまくる中で、全然うまくいかないんですよ。思い描いた未来は来ないし、繋がりたかった空いてとも繋がれないし。でも、そうやって失敗したからこそ、別の幸せを手にしていく展開は、「あー、こういうことあったなあ」とか、「こういうことで悩むよなあ」など、
懐かしさと共にこの歳でも胸にキュンとくるものがありました。

中でも、やっぱり理央と朱里の関係はやるせないですよね。理央から気持ちを伝えるまさにそのときに、理央の父親と朱里の母親が再婚して姉弟となることがわかり、お互いに「空気を読んで」感情に蓋をするという。本来自由であるはずの気持ちが大人の事情で制限されてしまうのは辛いなって思いました(まあ、若いんだしもう言っちゃえっていう気持ちもなくはないですがw)

そして、理央と朱里の関係がギクシャクして、理央がやや暴走気味になったとき、由奈がアドバイスした「言葉にしたら終わり」ってセリフも深いなと思いました。

そんな由奈が一番変わるんですよね、この映画。恋愛を通じてというより、むしろ「好き」という気持ちを“伝える”ことを通じて成長していく姿が初々しくもまぶしくて。

恋愛に限らず「きちんと伝える」というのは大事なこと。簡単なようでいて難しいときもあるんですが、それによって世界は大きく広がるし、自分も成長するのは事実ですから。ただ、「言葉にしたら終わり」というのもまた事実。そんな矛盾を抱えながらも一歩踏み出した由奈にはMVPをあげたいです。

さて、過去2作品も観て、咲坂伊緒の作品に共通してるなって思ったのが、登場人物は高校生なのに、キラキラ青春で楽しいことばかりではなく、辛いことや苦しいコトにも焦点を当てたヒューマンドラマ寄りの純愛になってることですね(あと、夏祭りと文化祭があるのも共通してますけど)。

それゆえか、みんな高校生なのにも関わらず、恋愛において経験してること、考えてること、セリフのどれもが大人っぽくて、実は人生一周してきてるんじゃないかって感じるんですよね。

一昔前のトレンディドラマを彷彿とさせるぐらいの恋愛至上主義な物語ではあるんですが、若い子だけでなく、大人でもいろいろ思うところはあると思います。

なんとなくアニメの方が向いているような気もしたんですが、まさかアニメ版も9月18日に公開するとはね。観てみようかなー。

てか、戸田菜穂もすっかり高校生を持つ母親役なんですねー。ドラマの『ショムニ』で秘書をやっていたときが懐かしいです(笑)


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