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リーアム・ニーソンばりのリベンジ映画だけど、テクノロジーに頼ることへの皮肉も込められた『ライダーズ・オブ・ジャスティス』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:18/36
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】

アクション
ブラックコメディ

【原作・過去作、元になった出来事】

なし

【あらすじ】

妻が列車事故で亡くなったという報せを受け、軍人のマークス(マッツ・ミケルセン)はアフガニスタンでの任務を離れ、娘のもとへ帰国する。

悲しみに暮れる娘を前に、無力感にさいなまれるマークスだったが、彼のもとを2人の男が訪ねてくる。その中の一人、妻と同じ列車に乗っていたという数学者のオットー(ニコライ・リー・コース)は、事故は“ライダーズ・オブ・ジャスティス”と言う犯罪組織が、殺人事件の重要な証人を暗殺するために、周到に計画された事件だとマークスに告げる。

怒りに打ち震えるマークスは妻の無念を晴らすため、オットーらの協力を得て復讐に身を投じてゆくが、事態は思わぬ方向に…。

【感想】

マッツ・ミケルセンの魅力全開の映画です。パッと見は妻を殺された夫の復讐劇なんですけど、その裏に隠されたメッセージは、現代の最新技術に対する皮肉と捉えると、なかなか興味深い内容でもあります。

<ほとばしるマッツ・ミケルセンの新しい魅力>

いやー、マッツ、マッツですよ。マッツ・ミケルセン。洋画ファンからは特に絶大な人気を誇る彼。マーベルやハリポタ、007でヴィランを演じたかと思えば、『アナザーラウンド』(2020)でただの酔っ払いもやっちゃう役の幅の広さ!

今回は妻を殺された復讐に駆られるリベンジ男という設定です。こういう荒ぶるおじさんって、僕の中ではリーアム・ニーソンの印象が強いんですけど、マッツもやってくれましたね。これまではスマートだったり、ファンタジーだったりする悪役のイメージが強いですが、この映画では兵士というフィジカルで男臭い役どころです。んでもって、ボウズ頭にサンタクロースのような髭という、見た目的にも印象に残るのがツボでした。

<数字や技術に頼りすぎることで生まれる思わぬ落とし穴>

交通事故で妻を亡くしたマークスですが、「実は交通事故ではなく、仕組まれた暗殺事件だったのでは?」と疑ったのがオットーです。そのことをマークスに伝えるや否や、復讐心丸出しで悪の組織を皆殺しにしようと決意します。

ここでちょっと面白い理論があるんですよ。職業と問題解決方法はリンクしているというものなんですけど、例えば、ヨガ講師は瞑想、アスリートは競争。では兵士は、、、?暴力なんですね。オットーとその仲間たちが、自身の研究に基づく確率論や、顔認証システムのハッキングなどにより、怪しい人物を見つけては殴り込みをかけていきます。

ところが、ここでまさかの展開が待ち受けているんですよ。ネタバレになっちゃうから書けないんですけど、“あるミス”が起きます。簡単に言ってしまうと、数字や最新技術に頼った結果、知らず知らずのうちに、人間の認知機能にバイアスがかかるっていうところですかね。

ビジネスマンも日々数字と格闘しているとは思いますが、結局、数字って事実でしかなくて、それをどう判断するかは人間ですよね。人は信じたいものしか信じないってよく言いますけど、正しい意思決定を心がけたいなと強く思える内容です。

<わかる人にはわかるブラックジョーク>

昨年、ネトフリで公開された『ドント・ルック・アップ』(2021)と同様、基本はシリアス路線なんですが、ちょいちょいブラックジョークがあるのも本作の魅力。とはいえ、ここは日本人だとわかる人は多くはないかもしれません。僕もなんとなく笑うところだろうなとはわかっても、感覚として笑うことはできませんでした(笑)

<そんなわけで>

復讐に燃えるマークスですが、年頃の娘との接し方に悩む父としての姿も描かれていて、彼のいろんな顔が見れるのも面白いので、ぜひ観ていただけたらなと。

ちなみに、本作が公開されたのは海外では2020年で、『アナザーラウンド』と同じ年です。自身の出演作が同じ年にダブルで公開されるとは、マッツの勢いは留まることを知りませんね!


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