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ノリと勢いで生きてきたシャザムが見せるギャップに涙した『シャザム!~神々の怒り~』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:5/38
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Shazam! Fury of the Gods
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:ワーナー・ブラザース映画
 上映時間:130分
 ジャンル:アクション、スーパーヒーロー
元ネタなど:シェアード・ユニバース「DCエクステンデッド・ユニバース」(2013-)

【あらすじ】

古代の魔術師(ジャイモン・フンスー)から神々のパワーを授けられたビリー少年(アッシャー・エンジェル)。
それは、
S=ソロモンの知恵
H=ヘラクレスの剛力
A=アトラスのスタミナ
Z=ゼウスの万能
A=アキレスの勇気
M=マーキュリーの神速
のことであり、魔法の言葉「シャザム!(S.H.A.Z.A.M!)」と唱えると、超絶マッチョな最強ヒーローのシャザム(ザッカリー・リーヴァイ)に変身する。

以前、彼に力を与えるために魔術師が使った杖だが、実は本来の持ち主が別におり、その娘たち三姉妹が杖を取り戻しに地球にやってくる。

「奪われた力を取り戻す」

本来の目的はそれだけだったはずが、次女のカリプソ(ルーシー・リュー)が地球を混乱に陥れようとする!

未曽有の危機を前に、シャザムは世界のためではなく、ダメな自分を受け入れてくれた仲間のために立ち上がるが……。

【感想】

「DCエクステンデッド・ユニバース」第13作目。『シャザム!』シリーズ第2作目。見た目はオトナ、中身はコドモの"逆コナン"ヒーローのアクション・コメディ。今回は前作の話をもろに引き継いでいるので、まずは前作を観た方がいいと思いました。

<子供と観たいと思える世界観>

シャザムは、スーパーマンやバットマンと同じDCコミックス原作のヒーローですが、日本じゃ知名度ほぼゼロですよね。僕も2019年に実写映画化するまではその名前すら知りませんでした。

でも、子供ならハマりそうな設定なのがいいんですよ。ビリー少年(少年といっても日本でいう高校生の設定ですけど)が「シャザム!」と唱えると、たちまちマッチョのスーパーヒーローに変身しちゃうんです。その途端からスーパーパワーは使い放題なので、すごく夢のある設定じゃないですか?(笑)マーベルの『スパイダーマン』と同じく若者が主人公ですし、家族や友情を軸に悪と戦う勧善懲悪の話だから週刊少年ジャンプっぽい雰囲気もあって、日本でもっと受け入れられてもいいと思うんですけどね。また、DCの映画は暗い雰囲気のものが多いですけど、このシリーズに至っては明るいコメディなので、気楽に観られるのも推せるポイントですね。

<前作を観ていないとわからない>

今回は、前作の終盤でシャザムが折っちゃった魔術師の杖にまつわる話がメインです。この時点でもう前作観てないとわからないじゃんって思うんですけど。で、その杖のその本来の持ち主は実はアトラスという神様であり、その3人の娘たちが杖を取り返しに来ると同時に、地球を混乱に陥れるという話なんですよ。公式サイトのあらすじだと、そこらへんの事情全部省いてるんで、まったく話の中身が想像できませんよね(笑)とにかく、「杖を取り戻しに来た」ということだけ知っているだけでも、話の理解度は変わるかと。その三姉妹からすれば、杖には神の力が宿っており、それを魔術師によって奪われたっていうんですから、被害者も同然なんですよ。

<ギャップがモノを言う>

杖の力で仲間たちはスーパーパワーを奪われてしまうし、敵の力が強大すぎて勝ち目がほぼない状況で、前作以上のピンチに陥るという展開が今作の見どころですね。そこで、シャザムは大切な人を守るために立ち上がるんですけど、オーソドックスながらも面白いと思えるのは、ここにギャップが存在するからです。シャザムってスーパーヒーローではありますが、それは見た目や能力的な部分だけで、人格はビリーなんですよ。だから、まあ子供っちゃ子供なんですよね。だから、ノリは軽く、若さゆえの自信過剰なところもあります。そんな青臭かった彼が、「ここは自分が何とかしなくちゃ」と身を挺して家族を、地球を守ろうと戦う姿には、ちょっと涙が出てしまいました。ビリーは両親に捨てられ、里親のもとで育ったっていう経緯があるから、家族に対して人一倍憧れを抱いているんですよ。今ではその過去の辛さを微塵も感じさせないほど明るく振舞ってはいるんですけど、そんな明るい感じだったからこそ、命懸けで家族を守ろうとする姿にギャップを感じましたね。やっぱり、頑固親父だったり能天気な少年だったり、優しさや勇気を感じさせない人がそれを見せちゃうと一気にクラっときます(笑)

<ちょっと不親切だなと思ったところ>

全体的に満足の映画なんですけど、疑問に感じるところもあるにはありました。まず、なぜ、古代の魔術師は神々の力を杖で吸い取り、世界を分断させたのかというところです。自分がその力を使って世界を征服したいわけでもなさそうでしたし、うーん、アトラスが人間を滅ぼそうとでもしていたんですかね。そんな説明はなかったですけど。

もうひとつは、なぜ、アトラスの娘たち、というより次女のカリプソは地球を混沌に陥れたのかということです。人間に復讐したがっている感じはしましたけど、その経緯がよくわからず。もしかしたら、僕が覚えていないだけかもしれませんが、それほどそこには話の比重が置かれていなかったっていうことでもあります。そのせいで動機がちょっとわかりづらいなって感じてしまいましたけど。まあ、それでもテンポはいいし笑えるしで、映画としては楽しめます。

<そんなわけで>

超絶アクションと超絶映像のアクション・コメディということで、気楽に楽しめる映画でしたね。しかも、今回はちゃんとDCエクステンデッド・ユニバースとの繋がりを持たせていて、"まさか"な人物も登場するからファンの人は特に楽しめると思いますよ!

それにしても、今回の敵となった三姉妹、だいぶ見た目年齢が離れていましたね。三姉妹というより、三世代っていう印象の方が強いぐらいには(笑)


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