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高いところが苦手な人は観ない方がいい。地上600mでのサバイバル劇に心臓バックバクになった『FALL/フォール』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:2/16
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★×20
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:Fall
  製作年:2022年
  製作国:イギリス・アメリカ合作
   配給:クロックワークス
 上映時間:107分
 ジャンル:スリラー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

山でのフリークライミングの最中に夫・ダン(メイソン・グッディング)を落下事故で亡くしたベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は、悲しみから抜け出せず1年が経とうとしていた。

ある日、ベッキーを立ち直らせようと親友のハンター(バージニア・ガードナー)が新たにクライミングの計画を立てる。今は使われていない地上600mのモンスター級のテレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になった梯子を登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功する。そこでベッキーは夫の遺灰を空から撒くことで、彼を偲び、新たな1歩を踏み出す決意を示すが、それも束の間、彼女たちに次々と困難が襲いかかる!

自分たちの持つ技術と知識をフル活用して、どうにかこの危機を抜け出そうとするが…高所で巻き起こる恐怖の数々にあなたは耐えられるか!?

【感想】

これはガチヤバ映画でした。。。いまだかつてこんなにも恐怖を感じる映画があったでしょうか、、、いやない。。。ホラーなんかよりよっぽど怖いですよ、これ。しかし、恐怖を感じるとはいえ、あの限られた環境でここまで面白くできるなんて、秀逸すぎる作品であったことに疑いの余地はありません。

<なんでそんな高いところに登るのかが一番のツッコミポイント>

今回の舞台は使われなくなった古いテレビ塔。その高さなんと600m。東京タワーが333mだから、その2倍近いことになりますね。設定や映像がとてつもなく秀逸な映画なんですが、この映画の一番のツッコミポイントは、「なんでそんなところに登るのか」です(笑)もちろん理由はあります。夫を亡くしたベッキーをその悲しみから立ち直らせるために、親友のハンターが誘ったんです。ここを登って踏ん切りをつけようと。この2人、もともとフリークライミングをしていたそうなので、高いところに登ることに関しては慣れているんでしょう。とはいえ、そんなところに登ってトラウマを断ち切れるかというと謎ですけどね(笑)むしろ、フリークライマーなら岩山の方がよかったのでは、、、?なーんて考えちゃいました。

<圧倒的高所でのサバイバル劇に絶望しか感じない>

はい、そんなツッコミはさておき、初めは躊躇していたベッキーも「いつまでも悲しんでいられない」とハンターの誘いに乗ります。彼女たちは立ち入り禁止のゲートを飛び越え、テレビ塔の真下に着くと、ハーネスとロープでお互いを結び、古く錆びついた梯子をひたすら登っていきます。

もうこの登っていくときの映像が一番怖いんですよ。。。僕は別に高いところが苦手というわけではないですが、ベッキーが途中で下を見たときの光景に思わず足がすくむ想いがしました。。。以前、マザー牧場で20mほどのバンジージャンプを体験したときも、あまりの高さになかなか飛ぶことができませんでしたが、これはその比じゃありません。テレビ塔の方が30倍も高いんですから。。。もちろん、CGや合成だってのはわかっていますよ?わかってはいるんですけど、あまりにも映像がリアルすぎて、バンジージャンプをしたとき以上の恐怖をスクリーン越しに感じ、心臓がバクバク鳴るのが自分でもわかりました。うう、今思い出しただけでも背中に寒気が走る。。。

<頂上についても恐怖は続く。。。>

やっとのことで頂上に着くも、まったく安心できません。だって、メチャクチャスペースが狭いんですから。足場は大人2人が何とか横になれるほどの広さしかなく、柵や安全バーの類もありません。ちょっとでも油断したら、あっという間に地面に向かって落ちていく、そんな危険極まりないところで安心なんかできるわけないじゃないですか。むしろ、いつ落ちるんだという緊張に全身が支配され、映画を観ているということ忘れて生きた心地がしませんでした。

そして、ついに事は起こります。写真を撮り、夫の遺灰を撒き、一通りやることを終えて下に降りようとした途端、老朽化した梯子が崩れ、降りられなくなってしまうんです、、、!!しかも、水が入ったリュックも落とし、栄養補給の手段がなくなります。さらに、高度が高すぎるが故にスマホは圏外、充電器もなくバッテリーは減っていく一方。助けを呼ぼうにも呼べないという窮地に陥ります。まさに、食料なし、電波なし、充電なし、救助なしの四重苦です。テキストじゃこの絶体絶命っぷりを伝えきれないのが本当に心苦しいのですが、実際に映像で観るともうヤバいですよ。。。あまりの辛さにこっちが泣きたくなります。。。

加えて、いろんなトラブルが次々に降りかかってくるんですよね。こんなにまで主人公たちが追い詰められることある?ってぐらい過酷な状況です。希望も体力も失われていく中で、何度か降下を試みる2人ですが、その光景にまた心臓がバクバクするんですよ。あんな高いところで、一歩間違えれば真っ逆さまに落ちちゃうんですから。。。ああ、本当に本当に生きた心地がしない2時間です。。。

<そんなわけで>

高いところが苦手な人はガチで注意してほしいです。下手したら失神しちゃうんじゃないかってぐらいの光景ですから。ただ、逆に言えばそれだけインパクトがあるっていうことです。メインの登場人物は2人、行動範囲もものすごく限られたスペースというかなり制約された状況なのに、ここまで面白くできる監督の手腕はすごいですよね。これはぜひ映画館で観てほしい映画です。


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