見出し画像

「それキスやない。食べてるんや」な『Red』

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:36/39
切ない😭:★★☆☆☆
情熱的🔥:★★★☆☆
⠀ キス💋:★★★★☆

いやー、キスがね、すんごいのなんのって。
予告で衝撃を受けましたけど、その全貌が見えました。もはやキスではありません。食事です。口唇と口唇の重ね合いではなく、寄生獣かなって勢いで食べておりました。

【どんな映画?】

原作は読んでいませんが、オーソドックスな不倫映画です。一流商社マンの妻として郊外の広ーい家に住み、かわいい娘にも恵まれ、何不自由なく暮らしているはずの村主塔子(夏帆)が、たまたま再会した元カレの鞍田明彦(妻夫木聡)と肉欲にまみれていくという話です。実にシンプル。世の商社マン妻はこの設定、どう見ますかね(笑)

【感想】

最近は不倫でずいぶん世間が騒いでいますが、、、フィクションになるとみんな好きですよね。フィクションなら何をしてもいいって?それは、みんな心の奥底では求めているんじゃないかなって思ったりもしますが(笑)
そんな欲望を解き放ってしまったのが今回のおふたりです。

でも、それぞれの事情は納得できるものでもありました。
以下、作品の内容にけっこう触れてます。

まず、夏帆なんですが、彼女の夫役は間宮祥太朗が演じています。彼がまたクセ者なんですよねー。妻の作ったメシは食べませんが、母親の作ったメシは食べます(しかも、好き嫌いが多い)。夜の夫婦の営みはさだまさしもびっくりな亭主淡白っぷり。子供が保育園でケガをすれば、妻が働いているのが悪いと言わんばかり。しかも、着ている服はラルフ・ローレンで統一という完全なるマザコン・モラハラ・おぼっちゃん野郎ですよね。
こんな家庭に彼女の居場所はありますか?そんなときに、かつて愛し合った元恋人と再会してしまったら、そりゃそっちに居場所を求めてしまうのではないでしょうか。

一方、妻夫木聡。彼は病気で余命幾ばくもない建築家です。残された時間が少ないと、自分のやりたいことが研ぎ澄まさていくのはお察しします。そんなときに、かつて愛し合った元恋人と再会してしまったら、、、そりゃ求めてしまうのではないでしょうか。

こんな状態のふたりなので、止まることを知りません。肉欲の限り相手を求めます。特に、妻夫木聡の攻め方が尋常ではなく、死期が迫った男の肉欲が、まるでサバンナにいるライオンの食欲ばりに旺盛で、ちょっと笑ってしまいました。「よく食べるな」と(笑)

そして、印象的だったのが、ちょいちょい夏帆の左手薬指を映すんですよね。指輪。彼女が「結婚」していて、「家庭」があるっていうことを際立たせることによって、そこからの解放をより印象づけている気がしました。もちろん、上記のような状態ですから、家庭から解放されたい気持ちはよくわかります。まあ、小さい娘さんのことを思うと、ラストの展開は胸が痛いですが。。。

あと、個人的にもうちょっと活躍させてほしかったのが柄本佑です。彼は、夏帆と妻夫木聡と同じ会社で働くチャラリーマンなのですが、ちょっとだけ夏帆にちょっかいだそうとするんですよね。でも、ほぼ何もない上に1回ポッキリ。もうちょっとちょっかい出して、妻夫木聡との三角関係を見たいなーとも思いました。

ちなみに、柄本佑の作中での役名は「小鷹(こだか)」。今、日テレで放映中のドラマ『知らなくていいコト』では「尾高(おだか)」。それでいて、どちらも不倫ですからね、ちょっと運命めいたものを感じてしまいました。

しかし、いろいろ書いたものの、個人的にはこの映画、そんなにハマらなかったんですよねー。僕自身、結婚はおろか子供もいませんし、目線も女性なので、理解はできても共感はできないというか。そもそも、メインの2人がかつてどれぐらい愛し合っていたのかもわかりませんし。

なお、今日は上映後に本作で監督を務めた島有紀子さんと、映画監督の岩井俊二さんのトークセッションがあり、三島さんがなぜNHKを辞めて映画の道に入ったのかといった話や、岩井俊二さんが映画製作で心がけていることなどが聞けて有意義な時間でした。

そこまで聞いておいて、「そんなにハマらなかった」というのはおこがましいことこの上ないですが。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?