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33歳の若さで亡くなったハリウッドの人気俳優の浮き沈みを描いた『BELUSHI ベルーシ』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:176/275
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】

ドキュメンタリー
俳優
コメディアン
ミュージシャン

【元になった出来事や原作・過去作など】

・人物(俳優、コメディアン、ミュージシャン)
 ジョン・ベルーシ(1949〜1982)

【あらすじ】

コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』、そこから派生した映画『ブルース・ブラザース』(1980)のジェイク役など、破天荒だが憎めないキャラクターで多くの人に笑いを与えた故ジョン・ベルーシ。

本作は、アメリカ・イリノイ州で育った幼少期から、コメディアン、ミュージシャン、俳優として成功を収めるも、人気絶頂の1982年に33歳という若さで、薬物の過剰摂取により亡くなるまで、アメリカン・コメディ界で輝き続けた天才ベルーシの、嵐のように駆け抜けた短くも強烈な生涯を、愛ある目線で辿っていくドキュメンタリー。

【感想】

僕が生まれる前に亡くなってしまったジョン・ベルーシ。名前だけ聞いてピンと来る人は、ある一定の年齢以上の人かもしれないですね。一番印象に残る作品は、やっぱり『ブルース・ブラザース』(1980)かな。本作は、彼の知られざる生き様が知ることができる貴重なドキュメンタリー映画です。

<アルバニア系の移民の子>

単一民族の日本だと、移民がいないのであまり気にはしないですけど、ジョン・ベルーシの家族はアルバニアからの移民です。日本人からしたらね、見た目からして、まるっと外人じゃないかって思っちゃいますけど。ただ、彼は強く移民の子というのを意識していたそうで、友達ができても家には絶対入れなかったとか。共働きの両親に代わって、祖母から溺愛されていたそうですが、そんな祖母も英語は話さなかったそうです。

<幼少期から見せていたお笑いの才能>

幼い頃はコメディのレコードを繰り返し聞いては、他人の家でショーを披露するなど、人を笑わせることが好きだったとのこと。小さい頃に好きでやっていたことが、その後のキャリアを決めるという、ある意味恵まれた人生とも言えそうですよね。

高校時代はアメフトをやっていたものの、大学中退後は劇団で活躍。まわりの人いわく、「彼が出るだけで笑いが取れる」ほどの人気っぷりだったとか。幼い頃から好きでやっていたことで評価されるなら、こんな幸せなことはないですよね。その道を目指しても日の目を見ることなく終わっていく人もいるんだから、才能に溢れていたんでしょう。

<1975年に始まった『サタデー・ナイト・ライブ』が転機>

これまでずっと自分が一番、自分がボスだったジョンも、『サタデー・ナイト・ライブ』ではチェビー・チェイスの方が出番も多く、人気もあり、いろいろ思い悩んでいたそうです。「自分は人に必要とされていなんじゃないか」、「自分には才能がないんじゃないか」って。天才だからといって、常に順風満帆ではなかったようですね。

ただ、そこで披露したサムライネタがウケて、ジョンの人気も徐々に上がっていったそうな。かなり、ステレオタイプな日本人を演じていたので、今だったら非難されそうなネタでしたけど、元は三船敏郎に触発されたとのこと。「世界のミフネ」の影響力の大きさたるや。

<悩まされる薬物問題>

人気になるに連れて、ジョンは薬物に手を出すようになります。もともとかなりバイタリティもあり、様々なメディアで活躍し、大暴れする芸風だったものが、よりパワーアップすることに。地位と名声が手に入ると、その分プレッシャーもあるし、自分本位になってしまうこともあるんですかね。

一時期は薬からも離れた時期もあったようですが、結局コカインとヘロインを併用し、最後は過剰摂取で33歳の若さでこの世を去ってしまいました。

<無尽蔵のバイタリティ>

ジョン・ベルーシは薬物問題もあり、途中からいろいろ制御が効かなくなってきたようですが、基本的には誰からも愛される人柄だったようです。なんか、見た目からしてかわいがられそうな感じはしますよね。いい意味で、「彼なら許される」ってぐらい愛されていたことが、まわりのインタビューから伝わってきました。

それはきっと、彼が常に「どうしたら人々が喜んでくれるか」を考え、役者にコメディアンにミュージシャンにと、幅広く活躍していたからなんじゃないかと思います。それらを全部こなすには、相当の体力が必要だったことは想像に難くないですけど、それを実行に移せる行動力とバイタリティがハンパないですよね。

その原動力は一体どこから来るんでしょうか。作中では語られていませんでしたが、移民の子という引け目や、父親の希望だったレストランの跡継ぎというのを断った経緯から、「この道で成功するしかない」って思ったのかなって、勝手に想像しています。幼少期の辛い思い出はないに越したことはないですが、それが後々大きなパワーになるなら、一概に悪いこととも言えないなって思います。まあ、辛いことがあった人が全員成功する保証はないですけど。

<ジョンにとっての天職>

彼は言っていました。「人生で学んだことを繰り返しているだけ」だと。あまり意識して演じているわけではなかったのかもしれませんね。それこそ天職だったんでしょう、ショービズの仕事が。

楽しいことばかりじゃないでしょうし、わかりやすく数字で表せる世界でもないので、ショービズの世界で成功するなんて、宝くじに当たるよりも難しいことかもしれませんが、好きでやって人気が得られるなんて、凡人の自分からしたらうらやましい限りです。ジョン自身、成功した後は苦労もあったようですけど、成功するまでは割とトントン拍子に進んで行った印象でした。

<その他>

このドキュメンタリーは、ジョンと親交のあった多くの人のインタビューとアニメーションで構成されています。インタビューには、ダン・エイクロイドや故キャリー・フィッシャーの声もあるので、ファンの人は観てもいいかなって思います。ジョン・ベルーシ自身は知らなくとも、ハリウッドで名を轟かせた人物の生き様は、何かしらの生きるヒントに繋がるかもしれません。


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