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精強な幹部自衛官の父をノックダウンした たこ焼き羊羹

幹部自衛官の父は、精強である。子どもの頃は、自分の父は世界一強いのではないかと信じて疑わなかったし、記憶にある限り、仕事の愚痴を一度も聞いたことがない。そんな精強な父を唯一ノックダウンしたものがある。
たこ焼き羊羹である。

私が大阪へ旅行した時のこと。隣りにいた知らないおっちゃん達が『これ買うてみぃー!めっちゃ不味いって反感かうでぇ~!』とお勧めしてくれたので、ネタと思いこれらを買ってみた。

(右は、勧められてもないのに購入した餃子羊羹)


旅先から実家へ帰り、早速、元自衛官の母とたこ焼き羊羹を食べてみた。食べた直後に気持ち悪さと頭痛に襲われた。
羊羹の甘いねちょねちょ感の中に青のりとソースの味と香りが凝縮されており、 噛めば噛むほど口の中にミスマッチな匂いが広がる。これは味わう食べ物ではないと理解して飲み込んだが、胃に到達した後も、奥底でそれは暴れ続けている。

危険だ… これは危険すぎる…。

しかし、レンジャー訓練で生ヘビを食べていた幹部自衛官の父なら食べられるのではないか?と思い、取っておくことにした。

そんなことをすっかり忘れていた真夜中。神妙な面持ちで、母が2階の私の部屋へやって来た。

母『mari… お父さん、具合悪いんだって。』
私『え!大丈夫?!』

父は持病持ちなので、心配した。

母『…胸がむかむかするって。 …たこ焼き羊羹の食べ過ぎで。』
私『はぁっっ!!?????』

飛び起きてリビングへ行ってみると、父がぐったりした様子で横たわっていた。傍らにはたこ焼き羊羹。見事に半分なくなっていた。父の帰宅後、『これ本気でやばいからたくさん食べない方がいいよ!』と、忠告しておいたのに。

ぐったりしてる父に事情を聞いてみたところ、『いや、mariの考えすぎだと思って…。食べてみたら、そこまで食べられないほどでもなかったから…。』とのことだった。

その後起き上がり、一生懸命焼酎を飲んで胃の中をアルコール消毒していた。

ちなみに、昼間一緒に味見した母は全く体調も崩さず異常もなく、『食べられなくはないけど、自分で買おうとは思わない。』程度の感想であった。
しかし、その後ケインコスギの話をしてる間中、一生懸命『コインケスギがね!コインケスギがね!』と連呼していたので、やはり、人間の身体機能になにかしら異常を及ぼす羊羹のようである。

精強な幹部自衛官ですらノックダウンしたたこ焼き羊羹、自衛官一家の我が家では伝説となっている。

(写真:陸上自衛隊HPより)

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