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電子書籍を積み上げたい

最近はほとんどの本を電子書籍で読んでいる。
電子書籍で買えないものは、仕方なく紙の本を購入したり、図書館で借りたりしている。
もちろん、たいていの読書家がそうであるように、最初は電子書籍否定派だった。

本というものは、ただ活字を読むだけでなく、表紙を眺めて、指先でページの感覚を味わい、撫で回し、書棚に並べて悦に入る、そういうものだと思っていた。

しかし、一度電子書籍で読んでしまうと、これが便利で仕方がない。
まず、本そのものを持ち歩く必要がない。
スマホやタブレットがあればいい。
最近はKindlePaperwhiteで読んでいるが、それでも数ミリの厚さしかない。
最近流行りの鈍器本と呼ばれるような分厚い本でも、もう凶器の役割を剥奪されて、安全な読み物になる。周りの人も安心だ。
いちいち栞を挟んだりしなくても、開けば前の続きが読める。
アンダーラインもひける。メモも書き込める。

ゆったりしたカフェでカップを片手に文庫本というのも絵になりそうだが、なっていると思っているのは本人だけのケースが多い。

もちろん、電子書籍は撫で回したり、眺めたりはできない。
誰かが訪ねてきた時に、さりげなく書棚を自慢したりもできない。
僕に限って言えば、訪ねてくる友達もいないので何ともないが。

さて、その電子書籍でも困ることがある。

積ん読とよく言われる。
僕も結構、積ん読派だ。
奥さんからは、読みもしない本を買ってと言われるがそんなことはない。
大真面目で、絶対読もうと思って買っている。
ただ、順番がある。
それだけのことだ。
2冊同時に買って、1冊目を読み終わり、さあ2冊目。
その時に、今すぐ読みたい別の本が現れる。
そうして、積み上がっていく。

しかし、積ん読は目に見える。
デスクの端であろうが、書棚の一角であろうが、目に見える。
だから、ある程度までなら、積ん読本のタイトルも答えられる。

これが電子書籍になると目に見えない。
もちろんライブラリをずらずらとさかのぼれば、読んでいない本が出てくる。
しかし、そのひと手間が面倒なのだ。
結果、買っても読んでいない、そのタイトルどころか、買ったことさえ忘れてしまう、そんな本がライブラリの奥底に沈んでいく。

パッと手に取って、パラパラとページをくってまた戻しておく。
この辺りの手軽さにおいては、積ん読は紙の本に分がある。

だが、これもARの技術を駆使すれば、何とか解決できそうなのだが。
仮想現実の書棚に、仮想現実の本を並べて、シャラシャラシャラっと仮想現実のページをくる。
そんな、電子書籍も積み上げられる日が待ち遠しい。

紙の本の積ん読に対する、電子書籍の用語として、入れ読というのを考えたが、誤解されそうなのでやめておく。





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