嘘つきは嘘をつかない
大本営発表とは、第二次世界大戦中の日本軍による戦況の発表のことだ。
軍は、戦況の悪化にも関わらず、いかにも日本が優勢であるかのように虚偽の発表を行った。
そうしたことから、上層部の一方的な発表、あるいは、権力者による信用できない発表、情報を意味するようになってきた。
大本営発表には2つの問題がある。
嘘を発表する国と、それをそのまま信用して、あるいは嘘と知りつつ伝える報道機関、マスコミだ。
もちろん、実際の大本営発表は戦時中のことであり、今ではその戦争も終わり、日本は軍隊を放棄して、生まれ変わった。
言論の自由も保障され、新聞・テレビをはじめとするマスコミは、国の言いなりではなく、取材の結果をそのまま報道している。
多少の右寄り、左よりはあっても、虚偽や捏造はない。
本当にそうだろうか。
今でも、世界には当時の大本営発表にも似た体制の国はある。
ロシアや北朝鮮、あるいは中国もそのように報道されている。
それらの国では、事実を捻じ曲げて、自分たちの都合のいいように国民に知らせている。
それらの国では、自分たちを非難する国こそが真実を捻じ曲げていると報道している。
と、されている。
しかし、今後、それらの国が世界を支配するようなことになり、さらに時間が経てば、彼らの主張が真実となるだろう。
他の国は、事実を隠して、自国民を騙していたのだと。
もちろん、そうなる可能性は低い。
しかし、今の僕たちは、この国で本当に騙されていないのだろうか。
今のマスコミが真実を報道している保証などどこにもない。
もちろん、政府の発表を捻じ曲げたり、捏造して伝えることはないだろう。
しかし、その発表が真実なのかどうかまでは、あまり追及はされない。
そして、騙すと言うのは、大っぴらに嘘を言うことだけではない。
口をつぐむ、何も言わない、それだけで我々を騙すことはできるのだ。
忘れさせる。
無かったことにする。
きっと本当の嘘つきは嘘をつかない。
肝心のところでは黙っている。
多くのニュースが、ある程度すると報道されなくなるのはよくあることだ。
例えば、旧統一教会の問題も、その後どうなったのか。
議員と教会との関係は、その後本当に断たれているのか。
教会に対する質問権行使はその後どうなったのか。
細田衆議院議長の記者会見の問題はもう終わりなのか。
森友問題。
ミャンマーはどうなったのか。
香港は。
ウイグル自治区は。
ジャニーズの問題もすでに消えかけている。
もちろん、マスコミも同じ問題ばかりをいつまでも取り上げているわけにはいかない。
しかし、そこに政府の何らかの力、思惑が働いていないと言い切れるだろうか。
日本のマスコミがそんなことで屈するわけがない。
そう思われるかもしれないが、そのマスコミは、一芸能事務所にも忖度するようなマスコミだ。
僕は、信用できない。
さらに、今やネットで情報はどんどん入ってくる。
当然全てを見るわけにはいかないから、選択をする。
その時に、自分の見たい情報、自分の信じたい情報、自分に都合のいい情報、それだけを集めてしまってはいないだろうか。
僕たちは、騙されることだけでなく、自分で自分をもいとも簡単に虚偽の世界に陥れてしまう、そんな危険な世界に生きている。
かつて、「僕たちの世界は新聞記事の切り貼りでできている」と語った人がいるが、この新聞記事を情報に置き換えても同じことだ。
「この世で信用できるのは、僕の愛だけや」
と妻に言うと、きっとしばかれる。
これは、真実だ。