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『告白水平線』 # 毎週ショートショートnote

どうしてあんなことを言い出したのだろう。
ジャンケンで負けた奴が、好きな子に今日中に告白しようなんて。
しかし、まさか僕が最初に負けてしまうとは。

でも、今日は、やっぱり無理だ。
「お前、どうするんだよ」
仲間に責められる。
「お前が言い出しっぺなんだぜ」
「誰に告白するのか知らないけどよ、さっさと済ませようぜ」
窓向こうの海を見つめる。
「やっぱり、今日は駄目だ」
その時、ガラッとドアが開いた。
あ、先輩。

事情を聞いた私は、そのウジウジした後輩を防波堤に連れ出した。
「あの水平線、見えるでしょ」
「はい」
「あの水平線にいつかたどり着こうと思っても、逃げていくばかりなの。あなたは永遠にたどり着けない、あなたは何も始められないの」
「はい」
「今が、いつかの水平線なの。あなたのいるところ。だから、さっさと告白しなさい」
後輩は何か言った。
「え?」

おかげで、先輩は妻になり、ウジウジした僕は夫になった。
「今が、いつかの水平線」
息子にも教えてやる。

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