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一万円札の顔

僕が生まれた時には一万円札は聖徳太子だった。
僕が生まれる2年前、1958年に初めて一万円札が発行され、その輝かしき初代を飾ったのが聖徳太子だった。
一万円札と言えば聖徳太子。
聖徳太子と言えば一万円札。
だから巷では、
「聖徳太子、何枚?」
なんて会話も交わされていた。

聖徳太子自身は、それまでにも、百円札、千円札、五千円札と何度もお札の顔に採用されてきた。
つまり、聖徳太子と言えども、いきなり一万円札の地位を手にしたわけではなく、地道にコツコツと出世街道を登ってきたわけだ。

しかし、そんな聖徳太子にも終わりがくる。
1984年、バブル前夜。
福沢諭吉にその地位を奪われる。
それにしても、聖徳太子から福沢諭吉って、ちょっと飛びすぎではないか。
飛鳥時代からいきなり明治とは。
その間に、一万円札に相応しい人物はいなかったのだろうか。
いま大河でやってる紫式部とかはどうなのだろう。
顔がわからないとだめなのか。
でも、調べてみると「日本武尊(やまとたけるのみこと)」や「神功皇后(じんぐうこうごう)」なんてのも過去にお札になっている。
こんなん、絶対顔なんかわからへんやろ。

さて、二代目一万円札の顔となった福沢諭吉。
以外にもこれが長期政権を築き上げる。
20年後の2004年に紙幣のデザインが刷新され、千円札、五千円札は、それぞれ、夏目漱石から野口英世、新渡戸稲造から樋口一葉に変更されたにもかかわらず、一万円札だけは福沢諭吉が続投となったのだ。

そして、今回の新紙幣において、ついにその座を渋沢栄一に譲ることになった。
なんと40年にわたって一万円札の顔を勤め上げたことになる。
お疲れ様でした。

新しく一万円札の顔となった渋沢栄一。
日本の経済を立て直すために頑張ってほしい。
次の新紙幣発行はいつだろうか。
キャッシュレスが進むなか、その頃には紙幣不要論が唱えられているかもしれない。

ネットでは、「新紙幣ゲットしました」の記事が飛び交っている。
でも、僕が思うに一番かっこいいのは、その新紙幣をいち早く使う人だ。
「運転手さん、一万円で。お釣りはいいよ」
「あっ、お客さん」
「え?」
「これ新紙幣ですよ」
「いいよ。どうせすぐ手に入るさ」
かっこいい!
よくない?

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