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『助手席の異世界転生』 # 毎週ショートショートnote

俺はしがない営業マンだ。
しかし、最近、新人のみゆきちゃんの指導担当になった。
みゆきちゃんは、スタイル抜群で超かわいい。
毎日みゆきちゃんを助手席に乗せて取引先を回るのが、俺の楽しみだ。
ある時俺は妄想を抱いた。
あのみゆきちゃんのムチムチの身体を包んでいる助手席になりたいと。

その夜の帰り道、1人で運転していると、突然声がした。
「替わってやろうか」
え、助手席が喋っている。
「お前さえ良ければ替わってやるよ」

俺は助手席になった。
みゆきちゃんの身体が俺の中に沈み込んでくる。
ああ、この快感。
運転席には、俺になった元助手席の奴。
あいつには、悪いがもう戻る気はない。

待て、お前。
俺には声が出せない。
元助手席の奴、みゆきちゃんを引き寄せて、何っ、キスだと。
やめろ。
みゆきちゃんもみゆきちゃんだ。
甘い声なんか出しちゃって。
「こんな車売っぱらって、もっといい車を買うよ」

俺の車は、知らないジジイに買い取られ、毎日ババアが俺の上に座っている。

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