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最後の砦はAIではなくて人間なのです

山口県阿武町の4630万円誤送金事件。
使い込んだ本人は逮捕されたが、モヤモヤすることばかりだ。

そもそも、何故こんなことになったのか。
銀行は、振り込む前に何故ひとこと声をかけてくれなかったのか。
何故、未だにフロッピーディスクなのか、田舎の市町村って、パソコンを新しくするお金もないのか。
彼は、何故突然返さないと言い出したのか。
町は、何故すぐに口座を抑えるなどの処置を取らなかったのか。
弁護士は何故顔出しNGなのか。

肝心のお金は戻ってくるのか。
これは、本人の言っているように使い切っていれば、まず諦めるしかない。
仮に月に1万円ずつ返金したとすると、385年かかる。
アメリカの極悪犯の量刑のようだ。
返済額を毎月10万円にすると、約39年。
39年に渡って月に10万円をコツコツと返金するような人は、そもそもこんなことになる前に素直に返金している。
心情的には、刑務所よりも、マグロ漁船に乗せたいくらいだ。
( マグロ漁船の方、ごめんなさい )

感情面になるともう、各人各様の思いがあるだろう。

僕がいちばんわからないのは、4630万円というお金が、今回は新人の担当者1人の作業で完結している点だ。
報道内容だけで見ると、どうもこの担当者が自分で資料やリストを作成して銀行に支払いの依頼をしているようだ。
上司が、私のチェックミスでしたという話は出てきていない。

僕が勤めていた会社では、一部に電子決済も導入され始めてはいたが、支払いに関することは、紙ベースだった。
まず、支払い依頼書と呼ばれる書類に、金額、振込先、お金の使途、それが新しいブロジェクトのようなものであれば、その時点でわかっている効果等を記載する。
それに、請求書を添えて、所属長に提出する。
問題なければ、次は財務部に回る。
そこで、何人かのチェックの後に、担当役員の決裁を得て、ようやく振り込みになる。
今回のような、何千万円という金額になれば、絶対に社長の決済がいる。
恐らく、どこの会社も似たり寄ったりのシステムだと思う。

お役所には、そもそも支払いという感覚がないのではと疑ってしまう。
自分達が稼いだお金が減るわけではない。
ため池から、少し水を汲み出す程度の感覚なのかもしれない。

もし改善するというのなら、この意識と、多重にチェックするシステムを作ることだと思う。
今回のような金額なら、最終的には、市長とまでは言わなくても、せめて町長の決裁が必要だろう。
こんな大金の責任を、1職員に背負わせるのは酷だ。

人間のやることだから、いくらチェック体制を厳しくしても、ミスはある。
全員が見落としてしまうということはあり得る。
それは、新聞や本、チラシなどの誤字脱字でよく目にするところだ。

こればかりは仕方がない。
人間だもの。

ヒューマン・エラーという言葉がある。
いわゆる、人為的ミス。
人間の手によるミスだ。
これを防ぐためには、「人間はミスをする生き物だ」という前提にまず立たなくてはならない。

例えば、机の上のコーヒーの入ったカップ。
倒さないように気をつけていても、倒してしまうのが人間だ。
それなら、少し高いところに置く。
サイドテーブルがあれば、そこに移動させる。
さらには、うっかり倒してもこぼれないような、ふたのついたカップにする。

今回のケースでは、例えば、一度に振り込まずに、462件を数回に分けて振り込むというのも、被害を少なくするためには有効だろう。
あるいは、いっそのこと振込をやめて、一軒一軒職員が手渡しで配って回るという方法もある。
現実的ではないが、考え方としてはそういうことだ。

これからは、こうした作業やチェック体制を、AIに任せてしまうということも考えられる。

以前、ANAだかJALだか覚えていないが、最新の航空機を操縦するパイロットを追いかけるドキュメンタリーがあった。
操縦席の最新の機器を使いこなすために、連日厳しい訓線がなされていた。
何故そこまで厳しくするのかという質問に、教官が答えていた。

「いかにAIが発達しても、安全の最後の砦は我々人間なのです」




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