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もしもウルトラマンが俳人だったら 【俳句】冬霞 冬ざれ 寒昴〜ウルトラマン/碧萃生

冬霞溶けるジャミラの目の雫

冬ざれの怪獣墓場なんまいだ

平和といふ戦ひ終へて寒昴

もしもウルトラマンの趣味が俳句だったら。
ウルトラマンになったつもりで詠んでみた。
これが、なかなかに面白い。
みなさんも、ぜひ自分の好きな、今風に言えば推しのヒーロー、ヒロインになったつもりで詠んで見られては。
ただ、難点は、興味のない人にとっては理解不能になるケースも。

例えば、一句目のジャミラ。
知らない人にとっては、誰、何、それ?
溶ける?
でも、ご存知の方は、もしかしたら、もう泣いておられるのではないだろうか。
そう、ウルトラマンの中でも伝説の神回、第23話「故郷は地球」に登場する怪獣ジャミラ。

ジャミラはもともと某国の宇宙飛行士だった。
宇宙船の故障で水と空気のない惑星に不時着。
その後、その惑星の環境に身体が順応して、一見すると怪獣のような身体になってしまう。
計画の失敗を恐れた国は、その事実をひた隠しにするが、ジャミラは宇宙船を見えないロケットとして修理改造し、地球に帰還する。
自分を見捨てた国家に復讐しようとするジャミラ。
しかし、それは地球では平和を乱す怪獣でしかない。
科学特捜隊のイデ隊員は言う。
「俺はもう戦うのはいやだ。俺たちだって、いつジャミラになるかわからないんだ」
そして、叫ぶ。
「ジャミラー、てめえ、人間らしい心は、もう無くしちまったのかよー!」
一瞬、攻撃の手を止めて振り向くジャミラ。
最後は、ウルトラマンの発射するウルトラ水流を浴び、断末魔の叫びを上げながら崩れ落ちていく。

Wikipediaによると、ジャミラの名前は、アルジェリアの独立運動家、ジャミラ・ブーパシャからとられているとか。

また、ジャミラの最後の叫びは、赤ん坊の泣き声を加工したものらしい。

昭和のテレビには、「思想」があった。
そして、ドラマの陰に「ドラマ」あり。

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