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映画「ホールドオーバーズ〜置いてけぼりのホリディ」

1970年の暮。ボストン近郊の全寮制の名門男子校、バートン。
ホリデーシーズンを前に、生徒や職員はクリスマスから正月にかけてを家族と過ごすために帰省して行く。
しかし、中には、迎えてくれる家族のない者もいる。
古代史の教師ハナムは、頑固で融通がきかず、生徒からも教師仲間からも嫌われている。
そんな彼も帰るところのないひとりだ。
彼は学校に残る生徒の監視役を押し付けられる。
残った生徒は、5人。
そのうちのひとり、アンガスは当日なって、母親から帰って来るなと連絡を受けた。
そして、彼らの食事を提供する学食のマネージャー、メアリー。
メアリーの息子もこの学校の卒業生だったが、徴兵に応じてベトナムで戦死。
1970年はそんな年だった。
さて、教師のハナムは融通がきかない反面、熱血漢でもある。
生徒がメアリーを使用人として蔑むと、テーブルを叩いて叱りつける。

残った者だけの生活が始まって数日後、生徒のひとりの親が迎えに来て、他の生徒も一緒に出て行く。
しかし、アンガスだけは両親に連絡がつかずそのまま残ることに。
ハナムとアンガスとメアリーの3人の生活が始まる。
次第に打ち解けるハナムとアンガス。
クリスマスの日、プレゼントは何がいいと尋ねるハナムに、アンガスはボストン行きを希望する。
アンガスには、単に観光だけではなく、秘めた目的があった。
年も改まると、生徒たちが戻り、学校は賑やかさを取り戻す。
しかし、アンガスはボストンでのある行動が元で退学の危機に。
その時、ハナムはある行動に出る。

舞台の1970年に合わせて、映像もそのような画質になっている。
特に、オープニングとエンディングのジジジと流れる雑音は懐かしい。
「THE END」の文字も久しぶりに見たような気がする。

少し前に、日本の映画で「こんなふうに生きていけたなら」そんなコピーがあったが、ハナムの生き方はまさにそんなものなのかもしれない。
ハナムのように頑固で融通がきかず、しかし、信念はあり、誰かを守ることを恐れない、そんな生き方。
彼は、最後の最後まで、哀しいほどに頑固だ。

監督はアレクサンダー・ペイン。
ハナム役のポール・ジアマッティはゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞。
メアリー役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフは、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞などで助演女優賞を受賞。
そして、アンガス役のドミニク・セッサはカーネギー・メロン大学に在学中の21歳。
なんと、この作品がデビュー作。
これからが楽しみだ。

原題は「The Holdovers」
残留者たち、留任者たち、つまり残された者たち。
しかし、本当に残されたのは誰だろう。

アンガスがもし生きていたら、もう70歳を越えている。
どんな人生を歩んだだろうか。
そんなことにも、思いを馳せたくなる映画だ。

※タイトル画像はIMDbより

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