『伝書鳩パーティー』 # 毎週ショートショートnote

アミは軍の伝書鳩だ。
アミの国はようやく敵国と和平にこぎつけた。
アミは今日、その書類を敵国に届ける任務を告げられた。
「向こうで、食われちまえばいいさ」
同じ伝書鳩のユタカは、いつもアミにちょっかいをだす。
そして、仲間がまあまあととりなすのだ。

アミがその書類を足にくくりつけて飛び立った夜、ユタカは聞いた。
兵隊がこそこそ話しているのを。
「あの中味は書類ではなくて爆弾だ。あいつら、和平なんて騙されやがって」

アミが懸命に飛んでいると翼の音が聞こえきた。
「アミ、引き返すんだ」
ユタカの声だ。
「なによ、こんなところまで」
ユタカは事情を説明して、アミの足の爆弾を必死につつく。
しかし外れない。
「いいわ、わたしが終わらせる」
アミが目を閉じたその時、
「みんな一緒だ」
いつの間にか他の仲間もアミを取り囲んでいた。
「あなたたち…」
伝書鳩のパーティーは海へと急旋回した。

明け方、少年は沖で大きな花火が上がるのを見た。
ラジオは戦争の終結を告げた。

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