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『わたしはお人形』

幼い頃から、わたしは自分のことをお人形だと思っていました。
だってママもパパも、お人形のように、いろんな服を着せてくれるのですから。
お隣のおばさんも、親戚のお姉さんも、わたしを見ると、
「まあ、お人形さんみたい」って口を丸くします。
だから、わたしはお人形なのです。
血の出るお人形。

ママも本当はお人形だったのです。
いつも綺麗な服を着て、優しく微笑んでいました。
いっしょに歩いているわたしまで嬉しくなります。
お友達のパーティに行くと、いつもみんなにうらやましがられます。
でも、最近、かまってくれません。
きっとパパに解体されちゃったのでしょう。

わたしにもボーイフレンドができました。
短い髪がよく似合う、優しい男の子です。
2人でいっぱい遊びました。
いろんなところに行きました。
手をつなぎました。
腕を組みました。
初めてキスをした夜のことです。
パパが耳元で囁きました。
「お人形は恋なんかしないさ」

結局、彼もパパに解体されちゃいました。
だから、わたしは今、ひとりぼっちなのです。
あなた、よかったら一緒に遊びませんか。
大丈夫ですって。
え、これですか。
これはパパの腕ですよ。
だから、ね、大丈夫でしょ。

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