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女性のキャリア形成ってどうしたら...

 企業や組織でダイバーシティ議論は花盛り。イノベーションには性別以外にも世代や人種、文化背景など様々なダイバーシティが必要ですが、日本社会の課題はなんといって男女差です。ジェンダー・ギャップ指数は156カ国中120位(*)。経済分野では女性管理職の比率の少なさが目立ちます。大学卒業後会社員として働いてきたのち独立した私にもキャリア相談に来られる方もいますのでnoteを書きます。なおこのテーマでラジオ出演予定です!(文末参照)

1.「ロールモデル」は探さなくていい

 若手女性会社員からよく聞くお悩みのひとつが、「近くにロールモデルがいない」です。実は、私も若い頃そう思っていました。自分とその人の若い頃とを重ね合わせることができる女性の先輩(ロールモデル)はいなかったから。今お悩みの女性もそれに近いことでしょう。
 そりゃいないはずです。管理職に占める女性の割合は直近でも14.7%(*)。そもそも「女の先輩」の絶対数が少ない。それに結婚・非婚、子の有無、親や配偶者の状況が違うのはもちろん、上司が違えば同じ会社でも随分違う。
 でも、「女の」「先輩」でなくったって、同じ職場じゃなくったって生き方が参考にはなる人は世の中にたくさんいます。私自身は、先輩方だけでなく、メーカー時代のIPOプロジェクトで関わった、男性の投資銀行家、女性の弁護士の仕事ぶりや、先に転職していった優秀な後輩の生き方が参考になりました。そういう複数の人たちを合成したロールモデルなら、居たといえましょう。
 さらに、楽天に入ると、中途社員が当たり前で、様々な業界から優秀な人が来ています。それに起業を前提に入社する人もたくさんいるんです。みんな「自分の人生」を生きているのであって、時代や環境が違う人の軌跡をなぞろうなんて思っていない。自分が自分のロールモデルになればいいのでは、と今は思います。

2.「なりたい自分」なんてなくてもいい

 私は学生時代は理科系の研究者にあこがれていて、就職活動もメーカー中心に行いました。ですが、大学4年間の結論は、理系に向いていないことがわかっただけでした(詳しくはラジオで)。就職後も研究開発から離れた職場を希望して、半導体部門の事務系に配属されたのでした。この時点は、(就職活動の時とは異なり)なりたい自分は何もない、なんとなく企業に就職した社会人1年目だったのです。
 その会社では12年半勤め、次の会社でも11年9か月勤めました。その間にIR(インベスター・リレーションズ)という仕事に出会い、IRって面白い!自分の天職だ!と思って今に至ります。いやはや、まったく想定していないキャリアですが、充分楽しく仕事をしています。

3. 目の前のことをこなすだけでもキャリアは拓ける

 私のように、夢破れ、なんとなく就職しても、目の前のことをひとつひとつこなしていると、やりがいが感じられ、チャンスももらえるようになります。私の場合、あるプロジェクトで、最初は男性の先輩にきたオファーをその方が辞退され、私がメンバーになりました。振り返ればそれは分岐点のひとつでした(ここも詳しくはラジオで)。当時に比べ、今は男女かかわらずチャンスが与えられるようになってきているはずです。そして統計によると、女性は男性に比べて自己肯定感が低く、仕事でも自信がないことが多く、損をしているようです。まず自分に自信を持ちましょう。どうしても自信が持てず、迷っているのなら、上司や周囲に相談してみましょう、きっと応援してくれるはずです。

4.多様なはたらき方が可能な時代に

 そして今の時代、独立・起業や転職が当たり前になり、リモートワークの普及もあいまって、いろいろな働き方が可能になってきました。私の友人では男女問わず、独立志向の高い方が多いです。夫婦で会社をつくって、ライフもワークも充実している人もいます(女性の方が代表)。夫の海外転勤の都合で一度専業主婦になっても、帰国後に大きな組織で重要なポジションを任されている人もいます。会社に自分を合わせるのではなく、自分のライフステージに合う会社を選ぶ人がいっそう増えています。
 女性は真面目な人が多く、仕事と家庭の両立には「こうあらねば」という自分で課した基準を守ろうとする方が多いと推察します。「こうあらねば」をやめて、気負わず、自分らしい働き方を柔軟に編み出してほしいです

5.組織の中ではたらく男女に

 とはいえ、今の会社組織でがんばる方も大勢いらっしゃると思います。会社員時代、管理職にあまりなりたいと思っていなかった私が、実際に昇進してよかったと思うことがありました。私のやりがいは、「よい仕事をする」「周囲の人の役に立って感謝される」ことです。その点では、管理職になった方が、より多くの人の役に立ち、よい仕事ができることがわかったのです。ある程度のポジションになったからこそ可能になったことがたくさんありました。たとえば、コーポレート・ガバナンスについては、IRの責任者(部長)だったから、他部署も話を聞いてくれて組織的な対応ができたと思います。RPGでいうと、次のステージに進んだから新しい武器がもらえるという感じでしょうか。欲を言えば、退職直前(2016年頃)、投資家の求めていたESGを社内でもっと推進するには、さらに高い肩書があった方がもっとやりやすかったとも思います。

 男性の上司は、そんなこと自明だと思うのか、昇進にあたって、あまりやりがいの説明をしてくれません。(「大きい仕事ができる」など抽象的。)そして女性もアプローチが間違っていて、専門性やスキルを上げる方向にキャリアを考えがち。そうではないのです。より高いポジションで社内も社外もコミュケーションすることで、あなたのやりたいことができるよ、と過去の自分に言ってあげたいです。そして今昇進をためらっている人々にも。

<おすすめ本2冊>
 組織でがんばる女性とその上司(男女問わず)たちにおすすめ。
 1. How Women Rise』(邦題『コーチングの神様が教える「できる女」の法則』)サリー・ヘルゲセン 、マーシャル・ゴールドスミス著
私はこれを最近読んだのですが、会社員時代に読んでいたらもう少し振る舞いが変わったのに!と思いました。間違った思い込みでキャリアを積もうとしている女性の事例がたくさん。自分と同じような思い込みも多々あり、目からウロコでした。
 2. 『LEAN IN』(邦題 (リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲)
シェリル・サンドバーグ著
こちらはFacebookのCOOによるベストセラーです。シェリル自身の体験にもとづく言葉に重みがあります。客観的なデータも豊富です。

【お知らせ】8/18(水) 午後9時、かわさきエフエムに出演します!

 さて、キャリアをテーマに対談することが決まりました!ご自身も投資家の経験があり、キャリアコンサルタント(国家資格)でもある森清華さんがインタビュアーのラジオ番組(30分)です。

かわさきエフエム (79.1MHz) 8月18日(水) 21:00~21:30
『森清華のLife is the journey』  http://careercreation.jp/radio/


 私のような人の話で何か参考になれば幸いです。(一部のさわりは上記にありますが、大きなネタばれはありません!)インターネットでもライブで聴けますし、放送後はSpotifyでも聴けます!
 森さんは上場前のアライドアーキテクツ(私は社外取締役をしています)にも出資した経験もあるそうで、とても親近感が湧きました。途中で森さんセレクトのかっこいい曲の紹介も入って30分間の番組です。もしよろしければ、お聴きください!

―ENDー

(参考)関連するnote記事はこちら。
<IRって面白いと初めて思ったエピソード>

<やりがいを感じたエピソード>


* データ出典:内閣府男女共同参画局  ジェンダー・ギャップ指数2021



IR(インベスター・リレーションズ)の経験などに基づいたテーマで記事を書いています。幅広い層のビジネスパーソンにも読んでもらえたら嬉しく思います!