Airbnbとホテル経営を時価総額から考える
先日「風の時代のビジネス」という記事を書きました。「ビジネスに占星術!?」という意見もあるでしょうが、実に興味深いことが起こっているのは事実です。
12月10日、米国でAirbnbが上場しました。利用されたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。民泊や体験を提供するサービスです。誰もが顧客になることができるだけではなく、ホストになることができるというのも特徴です。
新型コロナウイルスの蔓延により旅行業界が厳しい環境に置かれています。日本でも、旅行会社、宿泊施設、航空会社、電鉄などは厳しい状況ですね。そんな環境の中、Airbnbは米国市場に上場をしました。それだけでも驚きですが、さらに凄かったのが、有名ホテルチェーンの時価総額を超えてしまったことです。
<時価総額>(2021/1/1現在)
・Airbnb
→ 877.1億ドル
・マリオットインターナショナル(マリオット、リッツ・カールトンなど)
→ 427.9億ドル
・ヒルトンワールドワイドホールディングス(ヒルトン、コンラッドなど)
→ 305.5億ドル
なんと、世界的な超高級ホテルを所有するマリオットとヒルトンの時価総額を足しても、Airbnbの方が大きいという結果になりました。これは恐るべきことです。
もし「ホテルを経営しよう」と考えた時、まずは何を準備しようと思いますか?最初に考えるのは、宿泊施設、つまり土地・建物ですね。そして客室やレストランなどを考えていくものでしょう。泊まる場所がないのに「宿泊ビジネスをやるぞ」というわけにはいきません。しかし、これら全てに共通することがあります。それは、どれもこれも「一度作ったらそこから移動できない」ということです。「この客室(1715号室)をこのままの状態で100m先まで移動したいんだけど」なんていう会話はありませんね。そんなことできません。
ホテル経営において、建物は一度建設したらそこから容易に移動できるものではありません。いってみれば、土地にべったりとくっついたものです。「古いから新しくしたい」と思った時は、リニューアルしないといけません。土地にくっついていることが前提のこのビジネスは、まさに「地の時代」の象徴かもいしれません。
それに対し、同じ「宿泊サービスを提供する」というものでも、泊まりたい人と宿泊施設を結びつける「情報のサービス」は「風の時代」の象徴です。
顧客からみたら、マリオットやヒルトンを選んでもAirbnbを選んでも宿泊することは可能です。どちらを選ぶかは顧客次第です。
民泊については抵抗のある人もいると思います。正直私自身もホテル宿泊の方が好きです。しかし、10年後になるとどうなるかはわかりませんね。例えばiPhoneが登場した時、「将来世界中の人がスマホを手放せない時代が来る」なんて思っていなかったわけですから。
「新型コロナウイルスが蔓延しているから、今だけだよ」という声もあるかもしれません。または、金余りを指摘する声もあるでしょう。しかし、Airbnbが名だたるホテルの時価総額を超えてしまったのは事実です。さらに、Airbrbの上場前日に、フードデリバリーのDoor Dashという企業が上場しました。こちらもIPOで非常に話題になっていました。2日連続で話題の企業のIPOがあったわけです。もしAirbnbに魅力がないなら、Door Dashにもっと資金がいってもよかったわけですが、実際はそうではありませんでした。Airbnbが評価されていると考えていいのではないでしょうか。
「マーケティングと占星術」というと、ちょっと抵抗のある方もあるかもしれませんね。しかし、「土地にくっついたビジネスと情報化ビジネス」といえば「納得」と感じられる点もあるかもしれません。2021年は、単なるマーケティングではなく、こういう視点もちょっと面白いかもしれませんね。
今年もどうぞよろしくお願いします🤗
* 最新情報を追加 *
以前は面白い話題があったら随時書いていた「風の時代のマーケティング」ですが、順序立てて理論的に執筆していこうと思い、2021年2月から連載にしました。ご興味のある方はぜひお読みくださいね🤗
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