K-POPのすごさを無理やりマーケティング的に紐解いてみた
8/10、パシフィコ横浜。
この日、友人に誘われ、私は人生で初めてK-POPアイドルのライブに参加してきました。
今回参加してきたのは、パシフィコ横浜で開催された「GFRIEND」のライブでした。
正直、私はもともと韓流ドラマも見ていなかったですし、K-POPもKARAくらいしか知らないですし、新大久保はサムギョプサルを食べるところだと思っていましたので、そこまで乗り気ではなかったのですが、
韓流アイドル好きの友人の熱心なプレゼンと、マーケターとして流行を知っておかないと、という謎の使命感に負けて参加することになったのです。
しかし、いざ本番が始まって15分ほど経過すると、すっかり彼女たちに引き込まれ、K-POPを知らない過去の自分を反省することになるのでした。
残念ながら「GFRIEND」は2021年に解散してしまいましたが、この衝撃はぜひnoteとして残しておくべきだということで、今回はなぜK-POPが魅力的なのかについて考察していきたいと思います。
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なぜ、韓国発のアイドルグループが増えているのか
そもそも、なぜ、インドでもなくマレーシアでもなく、韓国発のアイドルグループが増えてきたのでしょうか。
K-POPに疎い私でも、数年前から韓国発のアイドルが増えてきているという印象を受けていましたが、理由までは知りませんでした。
日本でK-POPブームが巻き起こったのは、WONDER GIRLS、少女時代、KARA、BIG BANGなどが登場した、2004年くらいからでしょうか。
ちなみに日本のアイドル代表グループでもあるAKB48は2005年に初公演を行なっているので、AKBよりも早い段階でK-POPブームが来ていたんですね。
韓国出身アイドルが日本に進出してきた理由としては、大きく2つ理由があるかと思います。
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1、韓国の国土事情
韓国は国土面積が小さく、天然資源が少ない国です。
そのため、主要な産業はIT、造船、鉄鋼、自動車など、天然資源を使わずに、資材を輸入し製品を輸出するというモデルが基本構造になっています。
さらに、韓国の国内総生産の7割以上が一部の大企業によってもたらされているという経済背景があります。
出典:Bussiness Korea
当然、韓国のエリートはこの大企業を目指すわけですが、入社の段階で壮絶な就活戦争が引き起こされているのは想像に難くないでしょう。
そのような大企業への就活という選択肢の他に、夢を売っているエンタメ業界に憧れる若者が出てくるのは必然のような気もしてきます。
また、前述の天然資源が不要と言う点では、K-POPを含むエンタメ文化も同様ですので、国の土壌としても広めやすいという背景はあったのではないでしょうか。
無理やりマーケティング的にまとめると、韓国国内でマーケットの資源・環境の制約があったわけですね。
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2、日本のエンタメ商圏の大きさ
日本は韓国と比べて、エンタメに関係する市場規模が30倍ほど大きいと言われています。
加えて、CDアルバムも韓国で購入すると日本で購入する場合の1/3程度になるとのこと。
この事実だけでも、韓国から見て日本の市場が魅力的に映ることが分かりますね。
韓国のアイドルが、なぜ難易度の高い日本語を勉強して、日本語で歌を歌っているのかと不思議だったのですが、上記のようなビジネス的側面の理由が大きそうです。
資材を輸入し製品を輸出する産業構造を持つ韓国なので、自国でアイドルというコンテンツを育て上げ、日本を始めとする海外に輸出するというのは、ある意味理屈にあっているような気もしています。
マーケティング的にいうと、海外市場にマーケットを拡大していったというわけですね。
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ライブで感じたK-POPの特徴
話をライブに戻します。
K-POPに興味のなかった私ですが、ライブに参加して、以下の率直な感想を持ちました。
歌上手い。本気で上手い。
ダンスも上手い。キレすごい。てか歌いながらこんな動けるのか。
しかも、一人一人がキャラ立ちしててトークが面白い。
つまりグループとしてコンテンツの質がめっちゃ高いぞ、と感じたわけです。
マーケティングに少しでも触れている方は、コンテンツが優れていれば優れているほど、プロモーションを仕掛けやすいし、成功率が上がるということは感覚的に分かると思います。
韓国のアイドル育成は相当ハードなことで有名ですが、歌やダンスなどのパフォーマンスだけでなく、世間に受け入れやすいメンバー個々のキャラ設定など、緻密に計算された上で、グローバルを見据えた売出し戦略を取っていることが想像できます。
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地域によって好みが変わることを踏まえてなのか、Twitterを見ても、韓国版のアカウントと日本版のアカウントだと少し雰囲気が異なりますね。
しっかり進出する国々に受け入れやすいようにローカライズをしているのでしょう。
市場に合わせてコンテンツを最適化させているんですね。
最近の流行りでは、勢いが止まらないBTSも日本オリジナル楽曲を12曲出しており、しっかり懐かしいR&B系J-POPみたいな日本人の好きそうなアレンジが加えられていたりします。
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なぜ、K-POPが日本で受け入れられるのか
それでは、最後にK-POPがなぜ日本国内で流行してきたかついて、仮説を立ててみようと思います。
先に私なりの結論を紹介すると、
「明確なターゲット設計と、拡散されやすい商材設計」
の勝利ではないかと考えました。
今回のライブでは、男性よりも若い女性の姿が目立っていたのですが、GFRIENDに限らず、韓流ブームの中心は女性というイメージがあります。
日本でのアイドルの追っかけは男性が多いのですが、韓流は女性がターゲットなのです。
K-POPを少し抽象化させると「韓国文化」という広い意味で捉えてみます。
韓国文化といえば、音楽ジャンルであるK-POPのほか、韓国式ホットドッグなどのフードや、韓流ファッションやメイクも含まれてきますよね。
こう考えると、韓国文化の入り口はファッションやメイク、インスタ映えしそうな派手な見た目のフードなど、女性ウケしやすい商材が多いことが分かります。
なぜ女性をターゲットにしているかがなんとなく想像できるのではないでしょうか。
最近の若い女性の特徴といえば、SNSによるシェア文化です。
そのため、パッと見のインパクトも強く、食べたりメイクしたりの体験を拡散しやすい条件の揃っている韓国文化は女性ターゲットにマッチしやすいだけでなく、波及力も高まるのです。
そして、韓国文化の入り口が韓国メイクやフードだとしても、広い意味では韓国文化という軸で情報収拾をしていくことになるので、意図しなくても韓国文化全般の情報が入ってくることになり、自然とK-POPの情報にも触れていくことになります。
K-POPはクオリティの高さはもちろんですが、韓国という国が韓国文化を戦略的に広めていくための、ファッションやフードと並ぶ強力なコンテンツの一つという側面も有しているのです。
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改めてまとめると、韓国国内でマーケットの資源・環境の制約がある中で、海外進出に活路を見出した韓国が、海外進出を見据えて韓国という文化を発信しているということになります。
今や、アジアの若い女性は日本人に憧れるのではなく、韓国人に憧れる割合の方が多くなってきているようですし、韓国のアイドルグループになるために海を渡る日本人も増加傾向にあると聞きます。
前述のようなプロモーション戦略の効果も当然あるかと思いますが、やはりコンテンツの質の高さがあってこそ、人の行動を変えたり流行りを生み出せたのでは、と感じます。
今回は少しお堅くまとめてしまいましたが、K-POPは単純にエンタメとして楽しめます。
まだあまり詳しくない人は、とりあえずgfriendをおすすめしますので、聞いてみてください。
最後に自己紹介&PRです!
筆者はBtoBマーケターの業務委託をご紹介するb-growthという会社を経営しております。
https://bgrowth.jp/
私自身も10年以上事業会社でマーケティングの経験があるので、マーケ人材以外のラフなご相談も大歓迎。
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10年以上事業会社でマーケティング/事業開発に携ってきました。昨年立ち上げた『BtoBマーケティング研究会』は参加人数700人規模まで成長。マーケター向け勉強会や懇親会を主宰し企業とマーケターの最適なマッチングやマーケターの繋がりを活発化させるべく奮闘中。