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第74回福岡国際マラソン選手権大会2020 備忘録

2020年12月6日に第74回福岡国際マラソン選手権大会2020が、福岡市で開催されました。観戦記の備忘録を残します。

競技結果

1. 2:07:05 吉田 祐也(GMOインターネットグループ)【自己新】
2. 2:07:38 大塚 祥平(九電工)【自己新】
3. 2:08:03 寺田 夏生(JR東日本)【自己新】
4. 2:08:17 マイケル・ギザエ(スズキ)【自己新】
5. 2:08:21 作田 直也(JR東日本)【自己新】
6. 2:09:31 竹ノ内 佳樹(NTT西日本)【自己新】
平和台陸上競技場~福岡市西南部周回~香椎折り返し
天候:晴れ 気温:12-18℃ 完走者 67名

思い出の福岡国際マラソン

74回目を迎えた福岡国際マラソンは、伝統ある大会です。日本で開催された最初の国際マラソン大会であり、その昔、アメリカのボストンマラソン、英国のウインザーマラソンと共に『世界三大マラソン』と呼ばれていた時代がありました。「フクオカで勝つ」は世界のマラソンランナーにとっては大いなる名誉であり、過去数多くのオリンピックチャンピオン、世界陸上チャンピンが福岡の街を走っています。

私が初めて福岡国際マラソンを知ったのは、オーストラリアの新鋭(当時)、ロバート・ド・キャステラ選手が2時間8分18秒の当時の世界歴代2位の好記録で優勝した1981年大会です。当時は平和台陸上競技場と雁ノ巣を折り返すコースでした。33㌔付近で伊藤国光選手(鐘紡)を振り切り、独走態勢を固めた後半の力強い走りは印象に残っています。

ロサンゼルスオリンピックの代表選考レースとなった1983年も思い出深い大会です。当時の日本のトップ選手に加え、世界記録保持者のアルベルト・サラザール選手(米国)など海外からも豪華メンバーが集結し、世界トップランナーを決める大会となりました。

日本でも人気のあったタンザニアのジュマ・イカンガー選手が序盤から終始ハイペースで先頭を走りました。集団からひとり、またひとりと振り落とされ、最後は瀬古俊彦選手(SB食品)とのマッチレースになりました。肩を並べて競技場に戻ってくると、瀬古選手がラスト100mから必殺の猛スパートを放ち、勝負の決着をつけました。「瀬古強し!」を世界にアピールしたレースでした。

近年は外国人招待選手の壁が厚く、日本人選手が勝つのが難しいレースになっていますが、今年はコロナ禍で外国招待選手不在となり、日本人ランナー優勝のチャンスが高まっていました。東京五輪代表の服部勇馬選手と2時間7分台ランナーの高久龍選手の欠場は残念でしたが、次のパリ五輪を狙うニュースターの誕生が期待されていました。

吉田祐也選手の鮮やかな勝利

気温こそやや高いものの、風も弱く絶好のレースコンディションでした。1㎞毎のペースに凸凹こそあるものの、三年連続でペースメーカーを務めるビダン・カロキ選手が、設定通り30㎞までを5㎞14分台のラップを刻み、2時間5分台も狙えるペースでレースは進みました。

30㎞通過の時点で、先頭集団は吉田祐也選手(GMO)、藤本拓選手(トヨタ自動車)、サイラス・キンゴリ選手(ひらまつ病院)の3人になっていました。キンゴリ選手は香椎の折り返し手前で棄権。2時間5分台を狙うと公言していた藤本選手も徐々に引き離され、マラソン二回目の吉田選手の独走態勢になっていきました。35㎞から40㎞でややペースダウンしたため、藤田敦史選手の持つ日本人大会最高記録(2時間6分51秒)は更新できなかったものの、2時間7分5秒の好記録でマラソン初優勝を飾りました。

2位には、レース前半で転倒のアクシデントに見舞われたものの後半粘りを発揮して追い上げた大塚祥平選手(九電工 東京五輪補欠)が2時間7分38秒で入り、3位には箱根駅伝ファンにはお馴染みの寺田夏生選手(JR東日本)が3分以上自己記録を更新する2時間8分3秒でゴールしました。

5位にはめきめき頭角を現してきている大型ランナー、作田直也選手(JR東日本)が2時間8分21秒の自己新記録で食い込み、昨年のMGC出場者の竹ノ内佳樹選手(NTT西日本)が、後半も粘って2時間9分31秒と念願のサブテン入りを達成しての6位入賞です。

その他の選手では、持ちタイムの一番速かった藤本選手は後半疲れて2時間11分27秒(12位)、一時のスランプを脱して復調してきた設楽啓太選手(日立物流)は前半健闘したものの2時間13分39秒(17位)に終わりました。

プロランナーでは、川内優輝選手が2時間13分59秒(19位)、福田穣選手が2時間11分52秒(13位)、神野大地選手が途中棄権とやや期待外れの結果に終わりました。前半で先頭集団から離され、残念ながらインパクトを残せないレースとなってしまいました。

勝手に寸評

吉田選手は、今年1月の箱根駅伝四区で区間新の快走、2月の別大マラソンで日本人トップの2時間8分台、現役続行を決断して臨んだ今大会をマラソン二回目で初優勝と2020年に人生が一変した選手です。トラックレースでも好記録を連発しており、本物の強さをまといつつあります。

この大会の日本人最高記録を持つ藤田敦史選手は、箱根駅伝四区の元区間記録保持者です。また2日前には、同じく四区の元区間記録保持者の相澤晃選手(旭化成)が日本選手権10000mで日本新記録で優勝していますし、『箱根駅伝の四区を語る』で私が取り上げた三人のランナーの因縁を感じました。(まさに独断…)


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