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「汽車」にまつわる名曲【番外編】:ミッドナイト・ブルートレイン

本日は、過去に記事にした『「汽車」にまつわる名曲5選【邦楽編】』のセレクトから漏らしてしまった名曲、浜田省吾『ミッドナイト・ブルートレイン/Midnight Blue Train』(作詞・作曲 浜田省吾 1978/2005)の世界にどっぷり浸ってみたいと思います。


大好きな季節がやって来た

11月4週目の木曜日は、米国ではサンクスギビング・デー(感謝祭Thanksgiving Day)の祝日です。翌金曜日もブラック・フライデー(最近ではバーゲンセールのスタートとして知られる)の休みとなり、土日と合わせて四連休となります。

祝祭日(National Holiday)の少ない(というより日本の祝祭日が多過ぎる)米国で四連休は珍しく、普段離れて暮らしている家族や親類一同が集まって食事を楽しむ習慣があります。この日は大半の公共サービスも、多くの飲食店も休業します。そして、この休暇が終わると一気にクリスマスムード一色に染まっていきます。

私は、このサンクスギビング休暇からクリスマス休暇までの約1カ月間の、慌ただしくも浮ついた雰囲気が大好きでした。この時期の日本では、忘年会やら、仕事納めやらで慌ただしく過ぎていくのでやや興醒めですが、それでも店の飾り付けや街を歩く人々の装いや気分の変化が楽しめて好きです。

陽が落ちるのが早い分、夜のとばりも長い。良質なお酒と音楽が欲しくなる時期です。

ひとりの夜に味わう名曲

浜田省吾の『ミッドナイト・ブルートレイン』は、1978年9月発売の3枚目のアルバム『Illumination(イルミネーション)』に収録されています。

このアルバムについて、浜田省吾は、以下のコメントを残しています。

「音楽はプロの音になってますよね。『Midnight Blue Train』は、その頃の気持ちが出てる。この頃からポップなメロディを書く浜田省吾、というのが求められていたが、それを跳ね返して『いや、俺はこうだ!』とも言えず、身近な人からそう言われて、そうかあと思いながらやっていたけど、だんだん出来なくなり、次の『MIND SCREEN』でピークに達した」

Wikipediaから抜粋

この曲は後に『Midnight Blue Train 2005』としてリメイクされています。浜田省吾は、初期の自身の作品のアレンジや録音状態をあまり気に入っていないと言われ、後にリメイクしている曲が数多くあります。

この曲は、福山雅治が自身のアルバムでカバーしたことでも知られる名曲です。現在の私が繰り返し聴いている曲のNo.1になっています。信州の寒さが滲みるアパートでひとりこの曲を聴いていると、心にズドーンときます。

素晴らしいことばの数々

メロディもいいのですが、浜田省吾自身の当時の心情をそのまま吐露したような歌詞と歌声に、何度聴いても痺れています。自分自身が深夜特急に乗って、窓の外を通り過ぎていく景色をぼんやり眺めながら、自分でことばを紡いでいるような錯覚にかられます。特に、

描いた夢と 叶った夢が
まるで違うのに やり直せもしない
もう帰ろう みんな 投げすてて
でもどこへ 一体どこへ

人を傷つけ 嘘もついたよ
弱音を吐きながら ここまで来たよ
愛する人を引き止めようと
時には 自分を裏切りもしたよ
何を失くし 何を手にしたか
わからない もうわからない

の二箇所には、自分の人生や現在の境遇も重ね合わせてしまい、何度聴いてもじんわりと心に響きます。どストレートでもないが、飾りのないシンプルなことばが輝いています。ずっと心の奥深くに残しておいて、ひとりぼっちの夜に大切に聴き続けたい一曲です。



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