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金曜日の随筆:サッカーの思い出を棚卸ししてみる④ フランス1998

また運命を動かしていく金曜日がやってきました。2020年のWK19です。金曜日を起点に小さくとも新しい行動を開始し、トライ&エラーの積み重ねで人生を好転させていきたいと考えて動いています。

今週のテーマも引き続き「サッカー」です。第4回は、1998年開催のワールドカップ・フランス大会の思い出を振り返ります。私が真剣にワールドカップを追いかけていたのはこの大会までなので、サッカーシリーズはこれで最後にします。1982~1994大会の振り返りnoteは、本noteの最後をご参照下さい。

フランス1998

20世紀最後のワールドカップは1998年6月10日~7月12日にかけてフランス全土で開催され、地元フランスの歓喜の初優勝で幕を閉じました。個人的にはつい最近の話のように感じるのですが、もう20年以上前の出来事なのですね。

この大会から出場国が従来の24カ国から32カ国に拡大されました。予選リーグは各組4チーム、A~Hの8組に振り分けられ、各組の上位2チームがノックアウト方式の決勝トーナメントに進出する方式へと変更されました。

大会前の下馬評が高かったのは、前回優勝チームの主力メンバーに、怪物FWロナウドが加わったブラジル、若手・中堅・ベテランの力が融合して上り調子の開催国フランス、タレント軍団で戦力充実のオランダ、試合巧者のアルゼンチンあたりでした。

日本は、「ジョホール=バルの歓喜」でアジア最終予選を勝ち抜き、史上初めて本戦出場を飾ったものの、H組三戦全敗で予選リーグ敗退という結果に終わりました。指揮を執った岡田監督は、長年日本代表の象徴だったカズ・三浦知良を大会直前に登録メンバーから外すという苦渋の決断をしました。フランスのエリック・カントナ、ブラジルのロマーリオ、イングランドのガスコインら主力級の選手たちも登録を外れ、話題になりました。

私はこの時、30歳になったばかり。入社8年目で6月1日付けでこれまでの輸出営業から初めての国内営業に異動になったばかりでした。不慣れな環境と業務で気持ちは落ち着かない状況でしたが、大会前から割と気合が入っていました。事前研究には余念がなく、VTRテープを大量に買い込んで「全試合録画」しました。まあ、殆ど後で見返すことはなく後に処分しましたが…

優勝候補が強さを発揮した大会 納得のフランス戴冠

有力チームの1つに挙げられていたスペインが予選リーグで消えたものの、全体的に番狂わせは少なく、優勝候補に挙げられていた強豪国も順当に決勝リーグへ進出しました。

名将ザガロに率いられた注目のブラジルは、各ポジションを世界的名手で固め、万全の試合運びではないものの、地力を発揮して着実に勝ち上がっていきました。

開催国フランスは、経験豊富なブラン、デサイー、デシャンらのベテランが要所を固め、ジダン、ジョルカエフ、アンリら攻撃陣にもタレントが揃う好チームでした。決勝リーグに入ってからは、ブランの延長決勝ゴールで下した1回戦のパラグアイ戦、PK戦までもつれ込んだ準々決勝のイタリア戦と苦しみながらも、順当に駒を進めていきました。

旧ユーゴスラビアから分離したクロアチアは、エースFWのシュケルの得点力と分厚い選手層でルーマニア、ドイツを撃破して4強入り。3位決定戦でも強豪オランダを破り3位に食い込む活躍を見せました。

決勝戦は、前回優勝のブラジルと開催国フランスの対戦でした。決戦の舞台となったパリ郊外サン=ドニのスタット・ド・フランスは超満員でした。連覇のかかるブラジルは、エースのロナウドが極度のプレッシャーからの体調不良で全く精彩を欠いていました。全体的に低調なパフォーマンスのブラジルに対し、地元の大声援に後押しされたフランスは、ジダンが前半にコーナーキックからのヘディングで2ゴールを叩き込み、終始有利にゲームを進めました。後半試合終了直前には、MFプティがダメ押しのシュートを決め、3-0で快勝。同国初の戴冠を果たしました。2日後に革命記念日を控えたこの夜、普段は、「レ・ブルー(代表チームの愛称)」の戦いぶりに辛辣だったり、無関心だったりのフランス国民も、この時ばかりは歓喜に酔いしれたと言われます。

この大会は、フランスのアンリ(21)、トレゼゲ(21)、ブラジルのロナウド(21)、イングランドのオーウェン(18)、ベッカム(23)、オランダのクライファート(21)、イタリアのデル・ピエロ(23)、スペインのラウル(20)ら、後に世界のサッカー界を担うことになる若い世代の選手達の活躍も目立ちました。

大会を盛り上げた選手達

私がこの大会で最も印象に残っている選手は、優勝国フランスのゲームメーカー、ジダンです。大会MVPこそ、ブラジルのロナウドに譲ったものの、大柄な身体ながら、しなやかなボールテクニックとボディバランスの良さで、ボールを奪われない巧さは他を圧倒していました。優れた戦術眼で攻撃のタクトを振り続け、フランスの初優勝に貢献しました。

ジダン以外では、以下の選手が印象に残っています。
● 大会得点王にも輝いたクロアチアのシュケル。得点を奪う嗅覚に優れ、常に不気味な存在感を放ち続ける「ザ・ストライカー」という存在でした。
● イタリアのカンナバーロ。センターバックとしては小柄ながら空中戦に強く、カバーリングや1対1にも巧さと強さを発揮。まだ若いのに「うまいなあ」と感じました。
● アメリカ94でも活躍したオランダ・ベルカンプ。アルゼンチン戦の決勝ゴールは大会屈指の名ゴール。後方からのロングボールを神トラップし、無駄のない動きで素早いシュート(多分トゥーキック)を決めたシーンは衝撃的でした。
● イングランドのオーウェン。アルゼンチン戦のスピードに乗った圧倒的なドリブルでDF陣を切り裂き、逆サイドのネットに突き刺したゴールは圧巻でした。 

【今週の格言】
In every failure, a seed to happiness is planted.
失敗の中に、幸せの種がある
【今週の名言】
The acknowledgement of our weakness is the first step in repairing our loss.
-Thomas a Kempis, mysterious thinker, Germany
自分の弱点を知ることは、損失をつぐなう第一歩である 





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