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金曜日の随筆: 遠く離れた街でコーヒーを飲んで帰るだけの旅

また運命を動かしていく金曜日がやってきました。2020年のWK10です。

昔読んだ片岡義男(1939/3/20-)の小説に、主人公が住んでいる東京から遠く離れた地方都市の喫茶店までバイクを走らせてコーヒーを飲み、また帰って来るという話がありました。

小説の題名もストーリーの細部も殆ど覚えていませんが、そんな風な贅沢な一日の過ごし方が妙に格好いいなあ、いつかそういう風に自由に行動できる大人になりたいなあ、と憧れたことは強く覚えています。

昨日は、予定調和的な旅をするのが嫌だったので、行き当たりばったりで動くつもりで家を出ました。最寄駅から乗った電車に揺られている時、ふとその小説のことを思い出しました。

私はコーヒーが好きで、余程体調の悪い日を除いて、一日3~4杯はコーヒーを飲む生活をしています。酒を飲まない日はあっても、コーヒーを飲まない日はまずありません。今日の気分を考えた時、ふと立ち寄った街の喫茶店でコーヒーを飲んで帰るだけの旅をするのも悪くないと思い、美味しいコーヒーを飲める場所がないかをスマホ(こういう時は、文明の利器の助けを借ります)で調べました。

そこで、東京にも支店があるサザコーヒーのひたちなか市の本店を目指すことにしました。

サザコーヒーは、豆の品質に徹底的にこだわり、本拠の茨城県ではスターバックスやコメダ珈琲をも凌ぐ人気店だということがわかりました。

JR常磐線の勝田駅で降り、しばらく歩くと店の場所はすぐわかりました。木曜日の昼下がりでしたが、店内はわりと混雑していました。カウンター席に座り、基本通りブレンドを注文しました。

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私はコーヒー好きではあるものの、インスタントのネスカフェゴールドブレンドが美味しいと感じるようなタイプで、違いのわかるコーヒー通ではありません。正直なところ、どのようなコーヒーを美味いと表現したらいいのか知識も乏しいので、うまく言葉で説明することもできません。

コーヒーは嗜好品なので、好みは人それぞれでいいと思います。ただ、豆の質がイマイチでも淹れ方で味が変わるというのはおそらく本当なのだろうと思います。熟練のバリスタが淹れるコーヒーはやはり美味いと感じます。

カフェや喫茶店は、必ずしもコーヒーという商品単体で勝負している訳ではなくて、それ以外の要素 ~店の雰囲気、従業員、立地、イメージなど~ も含めて客と人気を集めています。

サザコーヒーも値段が安い訳ではないので、このお店に通う人にとって、コーヒー自体が美味いことはまあ大前提となります。地域で長く支持されているということは、それ以外の付加価値的な要素が共感を呼んで、繁盛店になっているのだろうと想像しました。コーヒーを一杯飲むだけの短い滞在でしたが、後日再訪したくさせるためのお店の工夫やこだわりは強く感じられました。

世界経済の先行きが一気にキナ臭くなってきている昨今、相変わらず自由に過ごしていて大丈夫なのかという不安も強くなってきました。ただ昨日読んだ『共感資本社会を生きる』の中にもありましたが、将来を危惧して、現在を犠牲にする生き方を続けていては、いつまで経っても幸せの時間はやってきません。綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、今は勇気を振り絞って精一杯『小休止』の時間を愉しみます。

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