見出し画像

国際空港の価値についての私見

アメリカに駐在していた頃、年に二回、日本に出張する機会がありました。長時間の空の旅を終えて成田空港に降り立つ度に『日本の玄関口なのになんかショボいなぁ‥』と感じました。

世界2位(当時)のGDPを誇る経済大国、日本の玄関口(ゲートウェイ)にあたる成田空港の設備やデザインはどうもパッとせず、『勿体ないなあ、もっと金をかければいいのに』と感じていました。

空港の建物内は清掃が行き届き、日本特有の清潔感こそありましたが、古びた箇所も目に付いたし、天井が低く狭苦しい印象がありました。「日本にやって来たぞ!」というワクワク感が沸きません。通路がフラットアクセスになっていない部分もあり、キャリーバックを引っ張って、上ったり、下りたり、バゲッジクレームまでやたらと長距離を歩かなければならないのも難点でした。ようやく辿り着いたバゲッジクレームの荷物運搬台が旧式でかなりボロかった記憶があります。

第1ターミナルと第2ターミナルの間の移動はバスでした。ターミナル間を電車やシャトルで移動できるアメリカの巨大空港に慣れていたので、日本はもっと空港に投資しようよ、と真剣に思いました。

当時はまだ、日本に観光客を呼び込むクールジャパンという動きが端緒についたばかりで、問題視されていた言葉などのソフト面だけではなく、ハード面のインフラも弱かったように思います。

あれから10年以上が経過し、成田空港も羽田空港も拡張や改装が進んでかなり快適な空間になっています。今回、成田空港の第2ターミナルを久々に利用しましたが、2つあるエプロンを繋ぐ通路部分の空間に公共のスペースが出来ていて、あの使い方は良いなあ、と感じました。

世界の主要空港は、著名な建築家がデザインを担当していて、建物の姿形が斬新ですし、最新鋭の技術も惜しみなく投下されています。国際空港は、外国からの客人を迎えるその国の玄関口ですので、どこも国力を誇示するように気合いが入っています。最近シンガポールのチャンギ空港内にオープンして話題になっているジュエルなんかは好例です。

2020年には東京五輪が控えています。世界からやってくる人たちが最初にその国に抱く印象はとても重要です。ゲートウェイにあたる国際空港の整備には、投資を惜しむべきではないと思います。空港施設にはしっかりとお金を使って、日本のイメージアップに貢献する空間であって欲しいです。

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。