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ラジオ体操の不思議

本日は、おそらく大多数の日本人が身体で覚えていて、意識しなくてもできてしまうであろうラジオ体操についての考察です。

30年以上ぶりのラジオ体操

今、勤務している会社では、毎朝始業前にラジオ体操第1を全員で行い、その後10分程度持ち場の清掃作業と部門での朝礼をやってから、それぞれの仕事へと入るのがルーチンになっています。

学校を卒業して以来、ラジオ体操をするような機会は殆どなかったにもかかわらず、不思議なもので、あの冒頭のピアノ伴奏が流れてくると、自然に身体が反応し、一つ一つの体操を正確に覚えていることに驚きます。

今日の朝も体操をしながら、ラジオ体操は、今では数少なくなった老若男女問わず、国民的了解事項、共通遺産ではないか、という気がしました。

100年近く続く国民的行事

ラジオ体操の起源を調べてみた所、軽い驚きがありました。

のちにつながる日本のラジオ体操は、アメリカのメトロポリタン生命保険会社により健康増進・衛生思想の啓蒙を図る目的で考案され、1925年3月31日から広告放送として放送されていたラジオ体操番組 "Setting up exercise" が基となっている。ー Wikipedia

なんと、もともとはアメリカからの輸入(模倣)だったようなのです。当時は「国民保険体操」という名称で考案され、1928年11月1日に昭和天皇即位御大典記念事業の一環として東京中央放送局(後のNHK)で放送を開始したのがはじまりのようなのです。日本全国への普及に一役買ったのは、当時ラジオ放送を開始して間もないNHKでした。

また、今では『ラジオ体操』と言えば『ラジオ体操第1』のことですが、100年近い歴史の中で、何度か改良が加えられていて、現在の体操は3代目にあたるようです。ラジオ体操は第3まであります。実はこの第3は、戦後に制定された第1、第2よりも歴史的には先輩で、戦前は『大日本国民体操』としてメインだったようなのです。2015年には『幻のラジオ体操 第3』として復刻しているようです。

因みに1999年には、ラジオ体操第1・第2よりも運動量が抑えられた「みんなの体操」が制定されているようですが、「みんなの体操」と言われても、ピンとこず、私はどんな体操なのか、全くイメージができません。ラジオ体操第1の影響力は絶大です。

ラジオ体操第1、13の運動の思い出

ラジオ体操で、真っ先に思い出すのは、小学校時代の夏休みです。ラジオ体操の参加は夏休みの課題の一つでした。町内会主催で、毎朝6時30分から近所の公園で行われる体操に参加し、体操終了後には出席カードに『出』のハンコを押してもらうのを楽しみにしていました。終わった頃にやってきてハンコだけ押して帰る子や、たまに来て休んだ日の分も合わせてまとめて押す子もいました。

ラジオ体操第1は以下の13の運動で構成されています。

1. 背伸びの運動
2. 腕を振ってあしをまげのばす運動(手足の運動)
3. 腕をまわす運動
4. 胸をそらす運動
5. からだを横にまげる運動
6. からだを前後にまげる運動
7.からだをねじる運動
8. 腕を上下にのばす運動(巡回体操・みんなの体操会では掛け声で言う)
9. からだを斜め下にまげ、胸をそらす運動
10. からだをまわす運動
11. 両あしでとぶ運動
12. 腕を振ってあしをまげのばす運動(手足の運動)
13. 深呼吸の運動
ー Wikipediaより抜粋

何と言っても有名なのは、序盤の2番目と終盤の12番目に組み込まれている、腕を振ってあしをまげのばす運動、通称「手足の運動」ではないかと思います。これは、ラジオ体操を象徴する名作運動だと思います。

最近は、随分と身体が硬くなってしまい、6番目のからだを前後にまげる運動の可動域が、子供の頃にやっていた時よりもかなり狭くなっています。前にまげるのも後ろに反らすの辛いです。9番目のからだを斜め下にまげ、胸をそらす運動も同様です。7番目のからだをねじる運動と、10番目のからだをまわす運動は、理由不明ながら子供の頃から好きでした。

8番目の、足を開いて腕を上下にのばす運動は、笑いそうになります。小学校の運動会なんかでは、この運動では声を出して「イチ、二ィ、サン、シッツ」と言っていました。

ラジオ体操は、日本が続く限り、日本のどこかで受け継がれていく伝統芸能になりそうな気がします。

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