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人生のトリレンマ

本日は、昔からぼんやりと考えていたことを『人生のトリレンマ』というテーマに落とし込んで考えてみたいと思います。

国際金融のトリレンマ

よく知られているのは、『国際金融のトリレンマ(The trilemma)』です。

● 自由な資本移動
● 固定相場制(≒為替相場の安定)
● 金融政策の独立性

という3つの政策を同時に実現することはできない、という理論です。カナダの経済学者、ロバート・マンデル(Robert Alexander Mundell 1932/10/24-2021/4/4)の提唱した理論だとされています。三つのうちの何かを犠牲にしなければいけないのだ、ということだと理解します。

人生のトリレンマ

この『国際金融のトリレンマ』の理論を知った頃、人生にとって大切な要素である「体力」「お金」「時間」は、トリレンマの関係ではないか…… と考えたことがあります。

学生時代は、「体力」と「時間」があるけど、「お金」がない……
中年時代は、「体力」と「お金」はあるけど、「時間」がない……
老年時代は、「お金」も「時間」もあるけど、「体力」がない……

「私は、三つとも実現してます!」「私は三つともありません!」と主張される人もいるでしょうから、万人に当てはまる法則だとは思いませんが、私の場合は、こういう図式で人生が推移していくような予感がしていました。

現在の私は、幸いなことに、有り余るような「お金」は持っていないものの、無理のない範囲でストレス少なく仕事をして、なんとか食べていけるだけの生活はできています。健康には恵まれ、これまでに大病もせず、ここまで来ました。拘束されている義務的時間と自由に過ごせる時間とのバランスも丁度よく、自分の身の丈にあった、概ね満足できる毎日を送ることができています。

他人と比較すれば、キリがありません。私よりも遥かに次元の高い生活を営んでおられる方は無数にいることでしょう。私の境遇を見て、「哀れな人生負け組」と見下す人もいることでしょう。私自身、同世代の人の生き方を見て、「凄いなあ」と素直に感動する時もあるし、「そんなに頑張るのは嫌だなあ」「ちょっと無理してるんじゃないのかなあ」と感じる時もあります。他人を羨んだり、自分を蔑んだりするのは、自分の生活を充実させるには、ほぼ意味がありません。外野の雑音は気にせず、自分の視点で信じた道を進むのが一番いいと思います。

追悼 仲本工事さん

ザ・ドリフターズの仲本工事さん(1941/7/5-2022/10/19)が、亡くなられました。クルマにはねられた横浜市西区の交差点は、私もよく知っている場所ですが、車の交通量も多い歩行者横断禁止の場所であり、横着をせずに少し回り道をすれば、近くには信号機のある横断歩道もあった筈です。魔が差したのでしょうか…… なんとも残念な最期となってしまいました。

逝去を受けて、過去の出演番組を観たり、ザ・ドリフターズ時代の思い出を語ったインタビュー記事を読んだりしました。仲本さんは、五人で生み出すドリフの笑いには絶対の自信を持っていることが伺えました。話の内容や歩んできた経緯から、他人に優しく、才能があって、頭の回転の速い人だったんだろうな、と思いました。勿論、陰では一生懸命努力はされているのでしょうが、悲愴感を漂わせず、自然体で、節度を守って、無理をしない生き方をしていた人なんだろうなあ、という印象が残りました。本人にとっては、全く予期していなかった最後だったろうとは思いますが、全体としては、概ね満足のいく人生を送られたのではないでしょうか。享年81歳、合掌。

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