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息子と絵本を読んでいた頃

本日も寒い夜です。今週は自分なりに多くのタスクをこなしたし、明日は仕事休みなので、自分へのご褒美として、ここしばらく封印していた部屋での晩酌を楽しみました。缶ビールを飲んで軽く酔いがまわると、息子がまだ4~5歳だった頃、絵本を読んでくれとよくせがまれていたことを思い出しました。絵本の読み聞かせは、自分にとっても非常に貴重な体験で、絵本が放つメッセージの奥深さと息子の反応から教えられることが度々ありました。本日は、あの頃の記憶を辿ってみようと思います。

絵本の読み聞かせは私の仕事

息子が絵本に夢中で、毎晩のように読むことをせがんでいたのは、4~5歳の頃だったと記憶しています。息子がまだ赤ちゃんだった頃から、絵本の読み聞かせは私の仕事でした。当時の私は、平日の夜は仕事で残業するか、趣味のバー飲みをするかで忙しく、家に帰り着くのは概ね遅かったものの、金土日の夜だけはお酒を断って、息子への絵本の読み聞かせをやるようにしていました。家事全般と育児を妻に任せっきりで、自由な時間を謳歌している罪滅ぼしの気持ちもありました。息子への絵本の読み聞かせ、朝のゴミ出し、布団の上げ下ろし、日曜日の息子との電車旅、週末の朝食の玉子焼き作り、なんかが、私が家庭で担当していた数少ない役割でした。

絵本を読む技術は妻よりも私の方が巧くなっていたので、ある時期から息子は「絵本読みは、パパの役目」と覚え(妻がそう仕向けていたのかもしれません)、絵本を持って私の所に来るようになりました。私が食事をしている時も、本を読んでいる時も、関係ありません。私も出来る限り付き合うようにしていました。同じ絵本を何度も何度も読まされるので、閉口することもしばしばでしたが、そばで真剣に聴いていた息子の可愛らしい姿が今となっては懐かしいです。

息子が好きだった絵本たち

買ったり、貰ったりして、自宅の本棚には沢山の絵本が揃えてありました。息子にはお気に入りの絵本が数冊あり、好きな絵本がその時々で変化していました。

そんな中で一番回数を読んだのは、おそらく『はらぺこあおむし』だろうと思います。最初に読む回数を決めておかないとエンドレスで読まされる羽目になるので、「今日は5回でおしまいね」と毎回上限を決めてからスタートしていました。それでも、大抵はアンコールに押され、「もう勘弁して‥」と私がギブアップするまで繰り返し読まされました。お陰で、内容は今でもほぼ暗記しています。

キヨノサチコ先生のノンタンシリーズも、息子のお気に入りでした。こちらは私に読んでもらうよりも、自分で絵を模写することにはまっていました。その興味は小学校に上がってからも続いていました。

アントンせんせいシリーズも一時期大好きでした。風呂上りに二人でソファに並んで座って、読んだことを思い出します。

息子に教わったこと

息子が絵本好きになってくれたことを、私は誇りに思います。今では、スマホやタブレットばかり見ているものの、幼い頃の記憶は、必ずや脳の片隅に残っていると信じています。少なからず、息子が音やことばや絵に興味を示すきっかけになったと思っています。

好きなことをやっている時の息子の集中力、何度でも納得いくまで繰り返す粘り強さ、できるまで諦めない執着力に触れたことで、愚直に毎日ルーチンを繰り返すことの大切さを教えられた気がします。大人になれば、好きでもないことでも我慢して受け容れないといけない…… 空気を読んで適当なところで妥協しないといけない‥‥という固定観念に縛られていた私に、好きなことだから続けられる、という素朴な感情を喚起してくれました。

もうあの時間は戻ってきませんが、大切に心にしまっておきます。

#子どもに教えられたこと

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