残念な奴が生き残る
本日は、『ざんねんないきもの事典』シリーズで知られる動物学者・今泉忠明氏が、雑誌「THE 21」の2021年5月号に書かれた記事「孤独な動物、群れる動物。その行動の理由とは?」から拾っての感想です。
動物も人間も同じ
この雑誌は、「孤独」特集に興味があって、買ってあったものでした。正月に自宅へ戻った時に目に止まり、読み返そうと思って、松本へと持ち帰ってきました。孤独というテーマについて、著名人が様々な視点から書いています。総じて孤独をポジティブに捉えている人が多く、編集もその方針で行われているように感じます。
本日取り上げる今泉氏も、「孤独が好き」「単独行動が好き」とはっきり書かれています。
結果的に群れからは距離を置いてきた
という部分を読んだ時、人間もそうなんだよなあ、と感じてしまいました。私は、群れの中に入ると最初は楽に感じる反面、長い時間経過すると居心地が悪いと感じてしまうタイプです。決して孤独状態に耐性があるわけではないものの、他人の感情の動きに配慮して気配り・心配りをするのが大の苦手です。相手のペースに合わせることが辛く感じ、気疲れしてしまうことが多いので、単独行動が許される環境に身を置くことが、良好な精神状態を保つ秘訣です。
覚悟を持って、「群れないぞ!」と強く心に決めているつもりはないものの、積極的に声をかけて、仲間に入りたいタイプではないと自己評価しています。成り行きで、群れから一定の距離を置きながら、ひとり自由に過ごす時間が増えていきました。
威張ると孤立する
人間と同じように、動物社会でも威張っている雄は、嫌われて孤立してしまうようです。自然界には、繁殖期以外の日常で、雄を中心とした群れを作る生き物はいないのだそうです。子孫を残す能力を有していない雄は、繁殖期以外は役立たずで、残念な存在とみなされるようなのです。
枠のある狭い世界の中では、威張っているボスでも生きられますが、選択肢の多い野生では、社会性・協調性に乏しい個体は敬遠されるということなのでしょう。なかなか身につまされる話ではあります。
馴染めない異端児の役割
ただ、種族を維持するには、異端児の存在は必要不可欠なのだそうです。多様性の乏しい種族は、予期せぬ環境変化に見舞われたことによって簡単に絶滅してしまう危険を孕んでおり、群れから浮いた存在の個体だけが生き残るというケースもあるようです。ちょっと変わった「残念な奴が生き残る」という現象です。
私は、単独行動を好みます。筋金入りの「残念な奴」という自覚は強く持っています。周囲の人々と協力して、大きな成果を生み出すプロジェクトに参画するのは好きです。そういうチームに組み込まれたら、自分に求められる役割を真摯にこなそうと思う性分ではあります。
とはいえ、常にそういう気持ちを維持するのは難しいですし、組織の為に見返りのない犠牲的精神を発揮出来るかというと、それはわかりません。ひとりの時間、単独行動の自由を求める気持ちを抑えることはできません。身を粉にしてその組織の為に献身的にハードワークできるかどうかは、条件や環境次第です。
意識して異端児になりたい訳ではないし、群れの中で無難に過ごすことを絶対に拒否したい訳でもありません。周囲からは、マイペースで、言いたいことを言って、単独行動が好きな人、という役回りに見えている気がします。他人から「残念な奴」と思われるのは覚悟の上での振る舞いなので、自分が招いてしまう結果に悔いは残さないように心掛けています。というか、それ以外のやり方をこなせる器用さを持ち合わせていません。身の丈に合わない無理はしない、必要以上の背伸びをしない、必要以上に卑屈にもならない、ということに徹する以外の生き方ができないようです。
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