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『肖像画で読み解くイギリス王室の物語』を読む

本日ご紹介する本は、英国王の肖像画から英国史を概観するという面白い試みである、君塚直隆「肖像画で読み解くイギリス王室の物語」です。

17世紀の清教徒革命、名誉革命が起こる以前の英国史には今一つ関心が持てず、これまでにあまり触ってこなかった分野でした。本書は、肖像画に描かれたそれぞれの王の治世の時代を、王の性格や物語を交えて簡潔に概観してあるので、とても読み易く、楽しく読める本でした。各章の主人公は以下の通りです。

第1章 ヘンリ7世(在位1485-1509)
第2章 エリザベス1世(在位1558-1603)
第3章 チャールズ1世(在位1625-1649)・チャールズ2世(在位1660-1685)
第4章 チャールズ・エドワード・ステュワート
第5章 ジョージ3世(在位1760-1820)
第6章 ジョージ4世(在位1820-1830)
第7章・第8章 ヴィクトリア女王(在位1837-1901)
第9章 エドワード7世(在位1901-1910)
第10章 ジョージ5世(在位1910-1936)
第11章 ジョージ6世(在位1936-1952)
第12章 エリザベス2世(在位1952- ) 

この中で私が一番興味深く感じた人物は、チャールズ・エドワード・ステュワートです。1688年の名誉革命で王位を追われたジェームズ2世(在位1685-1688)の孫であり、運命次第では、スチュワート王朝6代目、チャールズ3世として即位する可能性もあった人物です。私は本書で存在を知りました。

彼は運命により英国王にはなっていませんが、スコットランド民謡「マイボニー」のモデルになるなど、「若王位僭称者(ヤング・プリテンダー)」として国民的人気があったようです。詳細は省きますが、その波乱に富んだ人生はとても興味深いものでした。

第5章以降は、英国王室史そのものの流れとなっています。ざっと英国史をさらうにはとても良い本だと思います。

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