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『晩節の研究』を読む

本日の読書感想文は、河合敦『晩節の研究 -偉人・賢人の「その後」』です。2019年に出版された比較的新しい本です。

30人の晩年

著者の河合敦氏は、高校教師をしながら歴史作家、歴史研究家をされていた人で、著作や講演が人気の方です。本の帯にあった『意外すぎる「第二の人生」。』と帯巻きに書かれている以下の内容に興味を惹かれて購入し、読み始めました。

歴史に名を残す偉業を成し遂げた人物も、ほとんどの場合。本当に活躍したのは、ある一時期に限られる。それどころか、リタイア後に意外な「その後」の人生を送った人物が少なくない。
(中略)
有能な成功者である彼らはなぜ、”晩節を汚す”ことになったのか。その分岐点には何があったのか。30人の偉人たちの知られざる末路を繙き「人生の本質」を追求する。画期的な書。

選出された30人は、古代(~平安)から3名、中世(鎌倉~室町)から6名、近世(戦国~江戸)から14名、近代(明治~)から7名という構成です。

人生後半戦を味わえなかった人のためにも

私は、巡ってきた人生後半戦を、企業戦士とは違う別の生き方をするため、模索中の身です。本書で取り上げられている30人の没年齢は様々で、半数以上の偉人が今の私の年齢にも達せずに、この世を去っています。大往生とも言える幸せな最期を迎えた人もいれば、絶頂期の栄光を考えると随分と寂しい晩年を迎えて果てた人もいます。

それぞれの人物に詳細に触れていくと種明しになってしまうので、詳細は書かないことにします。歴史的偉業を成し遂げた人物の意外な性癖や変わった人物像が満載になっていてかなり楽しめました。個人的にはちょっと参考には出来ない反面教師のようなエピソードもあります。

面白いのは、晩年になっても性欲が衰えずに強かったというエピソードが多いことです。『英雄、色を好む』という諺はどうやら真実のようです。

結論はいつも同じ

他人の人生を観察して学ぶことは、視野を拡げる効果があります。私は、特定の人物にフォーカスした書物が好きで、伝記物と言われる本を積極的に読んできました。

他人の人生を俯瞰して学ぶことで、結局の所、毎回同じ結論に辿り着いている気がします。それは、自分に与えられているカードを理解して、精一杯もがき、生き抜くしかないのだ、という平凡なものです。今回もその大切さを再確認した一冊となりました。

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