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円高時代の海外志向

明日から休暇を取得して、2泊3日の旅に出ます。予定では、明日朝の移動を考えていたのですが、今夜から雪が降る予報が出ていて、中央線が止まるリスクもあったので、今夜の前倒し移動を決めました。今、移動中の特急あずさの中でこの記事を書いています。本日の記事のタイトルは、『円高時代の海外志向』というテーマに定めました。過去を思い出しながら、着地点を決めずに書いていきます。

国内嫌いの海外志向

5年程前までの私は、自他ともに認める海外かぶれであり、誠に恥ずかしいことに国際派を気取っていました。仕事においても、国内ビジネス志向=負け組、という偏見がありました。日本国内にしか目を向けないのは視野狭窄であり、幅広く世界に目を向けるべきだと信じて疑いませんでした。萎んでいくことが確実な国内市場一辺倒の産業や企業人に対して、見下したような気持ちが一切なかったか、と言われると自信がありません。大変失礼で、傲岸不遜な価値観に縛られていたと今では思います。

自然に好奇心が刺激される海外が積極的に好きだったことも勿論ありましたが、それ以上に国内嫌いでした。正確に言えば、"マルドメ(まるっきりドメスティック)"が頗る嫌いで、そういう態度の人に対して、蔑んだ発言や態度をしていたことは事実です。

そういう歪んだ思考による傲慢な態度自体は深く反省しているものの、若かりし頃の自分自身の志向が、ひたすら海外に向いていたことまでを否定する気はありません。あの時代はあれで良かったのだ、と納得しているし、海外志向のビジネスマンを目指したことに一点の後悔もありません。

円高時代に海外を見据えて働けた幸運

私が会社からの命で念願の海外出張に旅立てたのは、今から30年前の1994年でした。以来2019年までの25年間、海外に行かない年はなかったように思います。訪れた国は30ヵ国、海外駐在歴も約4年ありますから、そこそこ海外経験豊富と言ってもいいでしょう。望んだキャリアでした。

私が日常的に海外出張を重ねていた時期は、概ね日本円が強かった時代に合致しており、強い円の恩恵を授かっていたように思います。体力もあり、好奇心も旺盛だった20代から、会社のお金であちこち行かせて貰ったことには本当に感謝しています。海外体験は私の人生観にも強く影響を与えており、今になって日本で暮らせる幸せを強く感じられるのも、比較の対象、引き出しを幾つか持っているからだと断言できます。

いつか海外旅行へ

現在は、海外旅行に行く予定も、意欲もありません。今は、これまで見過ごしてきた日本の魅力を探し、丁寧に味わっていきたい、と考えています。

この嗜好の変化には、もちろんコロナ禍も関係していますが、最大の理由は、昨年から続く円安です。日本経済の弱体化、衰退、相対的地位の没落は、10年位前から薄々感じていましたが、こんなに早く1USD=150円時代がやって来るとは全く想定していませんでした。最早、コスパと快適さを考えると、無理して海外を目指す理由はなく、日本で楽しんでいれば十分という気分です。英語を解すことや、海外に行くことが何のステイタスにもならない時代ですし、しばらくは松本でまったり暮らしたいです。

でも、気持ちは絶えず変わるものであり、突然の心境の変化があるかもしれません。数年後には、手の平返しで、海外旅行に行きたい、行きたい、と切望しているかもしれません。

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