見出し画像

やっとここに来れた いわき 2020/12/30

本日は青春18きっぷを使って、JR常磐線を北上しています。水戸、いわきを経由して原ノ町駅まで行き、折り返して同じルートを戻ってくる予定です。

旅を決行した目的は、私の心に長年引っかかり続けてきた懸案事項をこなすためです。私は、2011年3月11日に起こった東日本大震災以前にも、震災以降にも、最も被害が大きかった東北の太平洋岸を訪れたことがありません。

あれから10年近くの月日が経ち、今さらではあるものの、今も廃炉に向けた作業が続く東京電力・福島第一原子力発電所とその周辺地域の現状を、自分の目で確認しておきたいと思っていました。2020年の最後の最後にやっと実現することができました。

現地を訪れるチャンスは、これまでに何度もありました。ボランティアに応募して、震災復興に協力することだってできたし、旅行を計画することもできたのに、どうしても行動ができませんでした。

私の知っている”フクシマ”の情報はメディアを通じて知り得たものか、実際にその地を訪れて被害の実態を目撃した知人から聞いたものに限られています。私にはこれまで原発被害問題に対して、ずっと傍観者を決め込んできたことへの罪悪感があります。

震災発生後のあの時期、”フクシマ”で起こったことに激しく動揺し、ショックを受けたことは間違いありません。にもかかわらず、自分自身は直接現実と対峙する機会を避け続けてきました。現実から逃げ、見ないふりをする気持ちが心のどこかにあったのだと思います。自分では何もできないのに、寄り添う素振りをするのは偽善的だ、責任を果たせない軽率な行動はすべきでない、という言い訳もありました。

立ち入り制限区間に指定され、運転が見合わされていた富岡駅〜浪江駅間が開通し、常磐線全区間が復旧したのは今年1月のことです。車窓からは、震災時に倒壊したままの姿で放棄されている家屋を見ました。双葉駅の近くには、汚染土壌を貯蔵する黒い容器が大量に積み上げられていました。駅舎は修復されて新品になっていても、駅には人はおらず、生活臭が漂ってもいませんでした。

私が今日したことは、いわき駅〜原ノ町駅間を電車に乗って素通りしただけにすぎません。それっぽっちの行動で何がわかるのか? と言われればそれまでです。でも本日現地で感じたものはしっかりと、いつまでも心に刻んでおきたいと思いました。

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。