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第104回日本陸上競技選手権大会・長距離種目の備忘録

2020年12月4日にヤンマースタジアム長居(大阪)で第104回日本陸上競技選手権大会・長距離種目が開催されました。男女6つの長距離種目決勝が行われ、好記録連発に沸きました。本日のnoteはその備忘録です。

各種目の優勝者

【男子】
5000m 坂東悠汰(富士通)13分18秒49【自己新記録】《13分13秒50》
10000m 相澤晃(旭化成)27分18秒75【日本新記録・大会新記録・自己新記録】➡東京五輪内定《27分28秒00》
3000mSC 山口浩勢(愛三工業)8分24秒19【自己新記録】《8分22秒00》

【女子】
5000m 田中希実(豊田自動織機TC)15分5秒65 ➡東京五輪内定《15分10秒00》
10000m 新谷仁美(積水化学)30分20秒44【日本新記録・大会新記録・自己新記録】➡東京五輪内定《31分25秒00》
3000mSC 石澤ゆかり(エディオン)9分48秒76【自己新記録】《9分30秒00》
《五輪参加標準記録》

勝手に寸評① 全体

今大会は、2021年へ開催延期された東京五輪の代表選手選考会でもありました。代表内定の条件は、以下の通りになっていました。

A. 既に有効期限内に参加標準記録を突破している競技者が優勝した場合
B. 今大会で参加標準記録を突破し、優勝した場合
《有効期限》
5000m・3000mSC 2019/5/21-2020/4/5、2020/12/1-2021/6/29
10000m 2019/1/1~2020/4/5、2020/12/1-2021/6/29

私はテレビの生中継を観る事が出来なかったので、陸連が提供しているYouTubeで幾つかのレースを後追いで観ました。

ペースの上げ下げによる駆け引き、有利なポジション争いがトラックレースの醍醐味です。最近の記録会レースでは、各選手が好記録を出す為に、設定ペース通りに集団を牽引するペースメーカーを配するケースがいます。この為、好記録が出易い状況になっています。

日本選手権は日本一を決めるガチ勝負の大会なので、ペースメーカー役はおらず、勝負を意識したスローペースに陥る年も見られました。しかし今年は、オリンピック代表内定の条件に参加標準記録突破が加わっていたため、全レースで前半から積極的にハイペースが刻まれ、現時点でトップクラスと見なされていた実力者が順当に実力を発揮して優勝した印象です。

勝手に寸評② 27分台連発、男子10000m

出場選手多数で、A・B組のタイムレースで行われた男子10000mでは、27分台が続出しました。(18名)

持ちタイムの好い選手が集まるB組は、オープン参加のコエチ選手(九電工)が前半からハイペースでレースを引っ張りました。中盤からは、今年の箱根駅伝2区で激しく競り合った、相澤晃選手(東洋大学⇒旭化成)と伊藤達彦選手(東京国際大学⇒ホンダ)が日本人トップ争いを演じました。

相澤選手の残り3周からの強さは圧巻で、ラストスパートでコエチ選手もかわして念願の初優勝。従来の日本記録を5年振りに10秒以上も更新し、東京五輪参加標準記録も突破して文句無しの代表内定を勝ち取りました。

相澤選手は今年東洋大学を卒業して旭化成に入社した23歳のルーキー。今年のシーズン前半は故障で出遅れていたものの、10月の延岡での10000mレースで27分台を出しており、順当勝ちと言えそうです。スムーズな足の運びでペースの上げ下げにも自由自在に対応できる強さを持ちます。一段とパワーアップした印象を受けました。

2位には最後まで粘った伊藤選手が27分25秒73(参加標準突破)、3位の田村和希選手(住友電工)も27分28秒92の日本新記録でした。好調を維持する河合代二選手(トーエネック)が自己新記録の27分34秒86をマークして4位、5位にベテランの鎧坂哲哉選手(旭化成)が27分36秒29で入りました。

マラソンでオリンピック代表が内定している大迫傑選手(ナイキ)は6位(27分36秒93=自己新記録)。今季から新天地を求めた佐藤悠基選手(SGHグループ)も7位(27分41秒84)に入りました。

大学生の田澤廉選手(駒澤大学)、中谷雄飛選手、太田直希選手(早稲田大学)、池田耀平選手(日本体育大学)の4名が27分台をマークしました。

勝手に寸評③ 激闘 女子5000m

2019年世界選手権代表でこの種目の第一人者、21歳の田中希実選手(豊田自動織機TC)と急成長中の有望株、20歳の廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)。既にオリンピック参加標準記録を突破している実力者同士の優勝争いが注目されました。

帽子がトレードマークの廣中選手がレースの主導権を握ってリードするものの、冷静にピタリと背後につけた田中選手がラスト250mからの切れ味鋭いスパートで前へ出て貫禄の優勝。オリンピック代表内定を決めました。敗れた廣中選手も参加標準を突破しており、代表の有力候補。この二人のライバル対決はこれからも楽しみです。


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