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『じつは完全復活している日本経済』を読む

久々の読書感想文になります。勝間和代氏のビジネスパートナーにして、経済評論家として活躍中の上念司氏の著書です。

私は新聞を読みません。会社員になる以前も、会社員になって以降も、新聞を丁寧に読むという習慣が身に付いたことは一度もありません。日常に起こる事件が凝縮された新聞を読まないことは、社会人として大成しない要因の一つかもしれません。

代わりに、国際情勢や経済動向について、雑誌やこういった書籍で情報を得ることが多いです。本書はコンパクトに解説されているので、さらっと事象を理解するのに大変便利です。

普段意識して情報収集ができていない特定のテーマについて、集中的に解説本を読み、知識を即席で蓄えて、何とか周囲との会話の仲間入りをしたり、自分なりの頭の整理をしたりしています。

この本は、比較的最近、2016〜2018年の中国、アメリカ、日本の動きを俯瞰したくて読み始めました。上念氏が安倍政権の強力なサポーターというポジションだということを知った上で選んだ本です。

今年の10月から消費税が増税されて10%になりますが、氏は真っ向から税率引き上げに反対する立場です。施行されれば、氏の予想通り、日本経済は腰折れする懸念が強いと私も思います。ただでさえ消費熱が弱い日本人は、お金を使うことに対して一層慎重になっていくことでしょう。

本書で徹底されているのは、マスコミ報道の奥にある固定観念を砕いて、新しい視点を入れようとしてくれている点です。この姿勢は素晴らしいですね。議論には説得力があり、知的に面白いです。

一方で、私のような素人にもわかりやすいように、意識的に論点を単純化しているのでは?と思う部分も目に付きます。細かな論点は大胆に端折って、荒っぽく結論を導き出している所も感じました。枝葉末節の議論がありそうな部分を伏せて、読者が混乱してしまうことを回避させようとしているのかもしれませんが、その点は受け取る方で注意が必要だな、と思いました。

トータルに判断して、役に立つ本だと思います。

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