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金曜日の随筆:『鬼滅の刃』を観る

また運命に向き合う金曜日がやって来ました。2020年のWK46、霜月の弐、13日の金曜日です。本日のnoteは、目下大ヒット中の映画『劇場版鬼滅の刃 無限列車編』を観た感想です。

やっと覚悟を決めて‥

『鬼滅の刃』には、妻がこの数ヶ月ずっとどハマりしています。老若男女に大人気なのは知っていました。ネットで本作の情報を集めれば集めるほど、「面白い映画に違いない」と確信していました。

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覚悟を決めて本日、妻(3回目の鑑賞)と映画館で観てきました。途中退屈するような場面は一切無く、期待通りの面白い映画でした。

よく知らない人気作品の映画化は苦手だけど…

人気マンガや人気テレビアニメの映画は、作品についての知識がゼロだと純粋に感情移入出来なかったり、物語の展開が理解出来なかったりすることがあります。観る側が物語の設定や主要登場人物のキャラを知っていることが前提で作品が作られている場合が殆どだからです。

私が『進撃の巨人』や『新世紀エヴァンゲリオン』や『ワンピース』のような巷では超人気作品として評価が確立している作品に手を出せないのは、事前情報を持っていないと真の面白さが理解出来なくて、心の底からは楽しめない話なんだろうな、という不安が先立つからです。

『鬼滅の刃』にもそのような不安はありました。それでも、映画を観る人の知識がゼロでも理解できるよう、最大限工夫が施されていると感じました。噂通り、人気作品が必ず備えている普遍の感動要素と作り手の熱量が散りばめられているので、魅入られます。

実は‥

これまで『鬼滅の刃』ネタを封印していたのには理由があります。『「鬼滅の刃」を読んでない男が語る「鬼滅の刃」の面白さ』というテーマでnoteを書こうと構想を温めていたからです。

既に数々の解説動画や解説記事を探して、主要な登場人物のキャラや時代背景や物語の設定や鍵となるエピソードは頭に入れていました。

マンガ連載当初からの熱烈ファンからすると、ポッと出の俄ファンが熱く魅力を語ったり、人気の秘密をもっともらしく解説したりするのは忌々しいことかもしれません。でも流行物ってそういうものですし、実際には自分で読んでない難解な名著の内容やことばを解説したり、引用したりしている人は世に一杯います。

『鬼滅の刃』には過去「少年ジャンプ」で大人気になったマンガのエッセンスが全て注入された上で、新しい要素も巧みに組み込まれているので、人気の秘密を研究対象にしても面白いだろうなと思います。

煉獄杏寿郎のリーダーシップ

※以下ネタバレ満載なので、観ていない方には申し訳ありません。

この映画の重要な登場人物が、鬼殺隊最強の9人の柱の一人、炎柱の煉獄杏寿郎です。既に理想の上司ランキング上位に顔を出すほど人気になっているので、『煉獄杏寿郎に見る理想の上司とは』とか『煉獄杏寿郎のリーダーシップに学ぶ』みたいなビジネス書がいずれ出版されるかもしれません。

印象的だったのは、無限列車の乗客200人の命を守る為に授けた指示です。列車が鬼と一体化していて、隊士を含む乗客たちは鬼の体内にいるも同然の状態です。客車は全部で9両あります。煉獄さんは炭治郎に以下のように指示を出します。

●  自分は後方の5車両の乗客を守る
●  その前の1車両の乗客は善逸と禰豆子が守る
●  炭治郎と伊之助は、前3車両の乗客に注意しつつ、二人で協力して鬼と闘え

そして、「いいな、客車に注意しつつだぞ」ともう一度言い含めます。リーダーとして、卓越している場面だと思いました。それは、

✔️ 「乗客の命を鬼から守る」のが最優先事項だと徹底させている
✔️ 瞬時に現状把握し、的確に役割分担を決めている
✔️ 目立つ手柄(鬼との対決)を後輩の力量を信じて委ねている

その前の場面で、炭治郎が斬っても斬っても無限に蘇る鬼の手との格闘の中で、「俺が守れるのはせいぜい2両だ‥」と呟いています。煉獄さんは、後輩達の実力を正確に見切って、役目を割り振っていることになります。鬼が前方の機関車部分に潜んでいることも見切っています。そして炭治郎達の倍以上の負荷の仕事を自ら引き受けます。部下なら痺れるでしょう。

煉獄さんは、選ばれし者が背負わなければならない運命に忠実に生きる人間の象徴として描かれています。この映画は人の命の大切さを考えさせる映画でもあるように思います。この映画の中で失われる人命は一人だけです。

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