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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2022年1月の記事一覧

だいぶ前に夢中で読んだ本の思い出

本日は、だいぶ前に夢中で読んだ本の思い出を振り返ります。手元に置いていないので、物語の細部の記憶はあやふやですが、ご容赦下さい。 ① 井上靖『蒼き狼』大学時代に出会い、買ったその日に下宿で夢中になって読み終えた本です。草原の英雄、チンギス・カン(テムジン)を主人公にした壮大な物語に、ワクワクしながら読み進めたことを覚えています。私は、数多い文豪の中で、井上靖氏の文体を読み易く感じ、非常に気に入っていました。なんと言っても『蒼き狼』というタイトルがカッコいいと思っていました。

『社会的共通資本』を読む❸

今じっくりと読み進めている宇沢弘文『社会的共通資本』(岩波新書2000)の読書感想文❸です。 第3章 都市を考える第1節 社会的共通資本としての都市社会的共通資本としての都市とは簡単にいうと、ある限定された地域に、数多くの人々が居住し、そこで働き、生計を立てるために必要な所得を得る場であるとともに、多くの人々がお互いに密接な関係をもつことによって、文化の創造、維持をはかってゆく場である。(P95) 日本は、太平洋戦争に敗北し、焼け野原から出発しました。日本が高度経済成長を

『社会的共通資本』を読む❷

本日は、じっくりと読み進めている宇沢弘文『社会的共通資本』(岩波新書2020)の❷ ~第2章 農業と農村~ の読書感想文です。  第2章 農業と農村第1部 農の営み 日本の農業が危機的な状況にあると言われて久しいものがあります。宇沢氏は、「農業」を経済体制における一つの自立的な産業と位置付け、工業と同じ枠組みで比較しようとしてしまっていることに問題がある、という示唆を与えてくれます。 農業が果たしている機能、農の営みという観点の欠如が影響している為に、農業基本法と農政の

『社会的共通資本』を読む❶

本日は、年末年始休暇を使って、ゆっくりと読み進めている名著、宇沢弘文『社会的共通資本』(岩波新書2000)❶=はしがき、序章、第1章 社会的基本資本の考え方 の読書ノートを記していきます。 制度主義の体現 ~資本主義と社会主義を超えて本書では、19世紀末~20世紀初頭のアメリカの経済学者、ソースティン・ヴェブレン(Thorstein Bunde Veblen 1857/7/30-1929/8/3)が提唱した制度主義(institutionalism)の考え方が何度も援用され