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だいぶ前に夢中で読んだ本の思い出

本日は、だいぶ前に夢中で読んだ本の思い出を振り返ります。手元に置いていないので、物語の細部の記憶はあやふやですが、ご容赦下さい。

① 井上靖『蒼き狼』

大学時代に出会い、買ったその日に下宿で夢中になって読み終えた本です。草原の英雄、チンギス・カン(テムジン)を主人公にした壮大な物語に、ワクワクしながら読み進めたことを覚えています。私は、数多い文豪の中で、井上靖氏の文体を読み易く感じ、非常に気に入っていました。なんと言っても『蒼き狼』というタイトルがカッコいいと思っていました。

KOEIのシュミレーションゲーム『蒼き狼と白き女鹿』は、この小説のタイトルから借用していると信じています。

② 宮本輝『青が散る』

新制大学のテニス部を舞台にした青春小説の傑作です。私が所属した大学のフィールドホッケー部で、バイブルとして強力に推奨されていた作品でもあります。主人公の燎平と、その燎平が入学時に一目ぼれした同級生の夏子との切ない関係にワクワク、ドキドキしながら何度も読みました。

燎平をテニス部に誘う金子、かつての天才テニスプレーヤーで自殺してしまう安斎、密かに燎平に思いを寄せる可憐な祐子、大阪駅の高架下で個性的なフォークソングを歌うガリバーなど、魅力的な人物が登場します。石黒賢と二谷友里恵の主演でテレビドラマ化もされていますが、ドラマの方は観ていません。

私は大学時代、『錦繍』『道頓堀川』『春の夢』など、宮本輝氏の作品を多く読みました。熱烈に好きな作品もあれば、あまり肌に合わなかった作品もありました。

③ 五木寛之『海を見ていたジョニー』

五木寛之氏は、私の憧れの作家であり、無条件で信頼している数少ないオトナです。氏の小説はどれも好きですが、この短編『海を見ていたジョニー』には特に強い思い入れがあり、たまに猛烈に読み返したくなります。私が読んだのは、新潮文庫版でした。

五木氏は、博識で守備範囲が広い人ですが、この小説のところどころにちりばめられている音楽についての深い洞察はさすがです。今回調べてみるまで知らなかったのですが、漫画やラジオ小説にもなっています。

④ 山川健一『みんな十九歳だった』

私にとって、山川健一氏は特別な作家です。私が「本を読む人間になる」と決意したかなり初期の段階で、「人生のピークは十九歳である」という刺激的なタイトルのこの本に出会い、すっかり魅了されました。私が19歳になったばかりの頃でした。当時は、講談社文庫版だったと思います。他に角川文庫から出ていた氏の作品を片っ端から買っては読む日々を過ごしました。

山川氏の永遠のアイドルは、ローリング・ストーンズです。氏の作品からは遠ざかって久しいですが、19歳の時に受けた恩は生涯忘れません。

⑤ 辻仁成『ピアニシモ』

辻仁成氏は、人気作家にして、ロックバンド『ECHOES』のボーカリストとして活動していた時代には『ZOO』というヒット曲を飛ばしています。現在は、フランス・パリを拠点に幅広い分野で活動しています。

氏の小説では、芥川賞を受賞した出世作の『海峡の光』よりも、すばる文学賞を受賞したデビュー作の『ピアニシモ』の鮮烈さの方に思い入れがあります。ほぼ内容を忘れてしまいましたが、当時見事な作品だと感服して、強い読後感が何日も残りました。

この『ピアニシモ』は根強い人気があり、この作品を読んで氏の熱烈なファンになった女優の南果歩さんからの猛烈なアタックを受けて、結婚しています(後に離婚)。2002年には、中山美穂さんと三度目の結婚をしますが、2014年に離婚しています。

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