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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2020年6月の記事一覧

『還暦からの底力』を読む

本日の読書感想文は、出口治明『還暦からの底力』です。 憧れの人、出口治明さん著者の出口治明さんは、私が憧れる人のひとりです。日本生命を退社後、パートナーの岩瀬大輔氏とライフネット生命を立ち上げ、長く経営されてきました。70歳を超えた現在も大分県別府市にある立命館大学アジア太平洋大学(APU)の学長として活躍されています。 出口さんは無類の読書家で、多くの著書があります。人生を豊かにする要素として、歴史、人、旅、本に言及されることも多く、共感する部分が凄くあります。自身が、

『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読む

本日の読書感想文は、磯田道史『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』です。2017年発売の本で、再読になります。 影響力が絶大な「歴史を作る歴史家」著者の磯田道史氏は気鋭の歴史学者で、視点や語り口が私の肌に合うので注目している人です。NHKの歴史系のテレビ番組でもよく仕事をされていて、本書は2016年放送の「100分 de 名著 司馬遼太郎スペシャル」がベースになっています。 歴史文学には、史実に近い順に、史伝文学、歴史小説、時代小説という三つのジャンルがあると言われます。司馬

『知的再武装 60のヒント』を読む

本日の読書感想文は池上彰・佐藤優『知的再武装 60のヒント』(文春新書)です。 知的であることへの憧れ知的(ちてき) 1 知識・知性の豊かなさま。また、知性の感じられるさま。 2 知識・知性に関するさま。 ー デジタル大辞泉 「知的である」とはどういうサマを言うのでしょうか? 知的な人、知的な生活、知的な仕事、知的好奇心… 普段からよく耳にするけれども「知的」って、どこかふわっとしたことばに感じます。 大辞泉の定義にもしっくりきません。「知識」と「知性」の違いを考え始め

『ヒトラーの時代』を読む

本日の読書感想文は、池内紀『ヒトラーの時代』です。 ヒトラーの時代の知識ヒトラーやナチスに関する本や情報は世の中に無数に出回っています。あとがきには本書の執筆理由が以下の通り語られています。 1889年オーストリア生まれのヒトラーが、ワイマール共和国の元首ヒンデンブルク大統領からの指名で合法的に首相に就任したのが1933年1月30日。敗戦濃厚となりベルリンの指令地下室で自殺したのが1945年4月30日。享年55歳。ヒトラーが権力の中枢にいたのは12年と3カ月間です。 本

『少しだけ無理をして生きる』を読む

本日の読書感想文は、城山三郎『少しだけ無理をして生きる』です。 作家、城山三郎城山三郎氏(1927/8/18-2007/3/22)は、1927年名古屋市の生まれ。元々は愛国少年で、17歳だった1945年4月に海軍の少年兵に志願入隊しますが、広島県にある呉海兵団で終戦を迎えます。この時の腐敗した軍隊での内部体験が、氏が好意を寄せて取り上げた人物や作風にも影響していると言われています。  戦後日本を代表する大御所作家の一人であり、「経済小説」という新しいジャンルの小説を切り拓

感じのいい「人間ぎらい」を目指す

現状確認 on 2020/6/2■PCR検査陽性者(=感染者)16,986(前週比+335) ■PCR検査実施数 300,277(+21,565) ■入院治療必要者 1,308(▲495)内確認中 12(▲9) ■退院者 14,771(+798) ■死亡者 900(+42)  ー 厚生労働省 2020/6/2 0:00時点 参考)日本の人口 1億2,590万人(前年同月比▲29万人 前月比▲6万人)  ー 総務省統計局 2020/5/1現在(概算値) とうとう厚生労働省のH

『横浜イノベーション!』を読む

本日は、内田裕子『横浜イノベーション!』(PHP2019)の読書感想文です。 本書の重心は、今の日本に不足している「イノベーション」の起こし方の提言にあると思うのですが、私は「横浜」にまつわる話の方に強く興味を惹かれました。 『第一章 「みなとみらい」ができるまで』、『第二章 横浜の原点』では、これまで知らなかったみなとみらい開発の経緯や、幕末に突如日本史の舞台に登場した横浜の歴史が整理されていて、大変興味深く読みました。 著者の内田裕子氏は千葉県出身、東京都在住で、横

『晩節の研究』を読む

本日の読書感想文は、河合敦『晩節の研究 -偉人・賢人の「その後」』です。2019年に出版された比較的新しい本です。 30人の晩年著者の河合敦氏は、高校教師をしながら歴史作家、歴史研究家をされていた人で、著作や講演が人気の方です。本の帯にあった『意外すぎる「第二の人生」。』と帯巻きに書かれている以下の内容に興味を惹かれて購入し、読み始めました。 歴史に名を残す偉業を成し遂げた人物も、ほとんどの場合。本当に活躍したのは、ある一時期に限られる。それどころか、リタイア後に意外な「